セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

膵臓-診断1

タイトル 内P-730:

組織学的変化を観察できた潰瘍性大腸炎合併2型自己免疫性膵炎の1例

演者 土居 雅宗(福岡大筑紫病院・消化器内科)
共同演者 植木 敏晴(福岡大筑紫病院・消化器内科), 丸尾 達(福岡大筑紫病院・消化器内科), 松村 圭一郎(福岡大筑紫病院・消化器内科), 簑田 竜平(福岡大筑紫病院・消化器内科), 大塚 雄一郎(福岡大筑紫病院・消化器内科), 野間 栄次郎(福岡大筑紫病院・消化器内科), 光安 智子(福岡大筑紫病院・消化器内科), 高津 典孝(福岡大筑紫病院・消化器内科), 松井 敏幸(福岡大筑紫病院・消化器内科), 原岡 誠司(福岡大・病理学), 岩下 明徳(福岡大・病理学)
抄録 (目的)2型自己免疫性膵炎(AIP)の急性期の膵組織学的所見は十分に検討されているが,膵炎軽快後の膵組織については報告が少ない.今回経時的に膵組織所見検討できた症例を経験したので報告する.症例は74歳の男性.平成19年に潰瘍性大腸炎(UC)を発症した.近医にてPSLとMesalazineを投与され軽快していた.UCの増悪はなかったが,H21年4月に胆道系酵素の上昇とUS上総胆管の拡張を認めたため当科紹介となった.Dynamic-CTで膵はびまん性に腫大し後期相で造影効果がありCapsule like rimも認めた.ERCPでは下部胆管に狭窄があり膵管はびまん性狭細化していた.EBS後にで胆道系酵素は改善した.血中IgG4は正常であり,経皮的生検でGranulocyte epithelial lesion(GEL)を認め,またIgG4陽性形質細胞はごく少数であったことから2型自己免疫性膵炎(AIP)と診断した.UCに対しては引き続きMesalazineが投与され,その後AIPの再燃はなかったが,3年後にUCの増悪があり再入院となった.UCに対してG-CAPとInfliximabが投与され軽快した.Dynamic-CT上膵腫大は改善しERCPで膵管の狭窄と膵管の狭細化は改善していた.経皮的膵生検では,膵腺房周囲の好中球の浸潤は改善し著明な線維化を認めたがGELは残存していた.自験例のUC合併した7例の検討では多くがUCの活動期にAIPを発症していた.本例はUCの非活動期にAIPを発症していたがUCの活動期に行った2回目の膵組織は炎症所見が改善していた.今回経時的に膵組織の検討ができたので文献的考察を加えて報告する.
索引用語 自己免疫性膵炎, 潰瘍性大腸炎