セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

膵臓-診断2

タイトル 内P-732:

膵嚢胞性病変に対する膵癌早期発見の地域連携パスの有用性

演者 天野 良彦(岩手県立中央病院・内視鏡科)
共同演者 村上 晶彦(岩手県立中央病院・内視鏡科), 三浦 真奈美(岩手県立中央病院・内視鏡科), 松本 信(岩手県立中央病院・内視鏡科), 池端 敦(岩手県立中央病院・消化器科), 城戸 治(岩手県立中央病院・消化器科), 小原 範之(岩手県立中央病院・消化器科), 高橋 太郎(岩手県立中央病院・消化器科), 大方 英樹(岩手県立中央病院・消化器科), 横山 直信(岩手県立中央病院・消化器科), 花田 敬士(尾道総合病院・消化器内科)
抄録 【背景】膵癌は予後不良の疾患であり,早期発見が困難で手術できても3年生存率14%であり,2cm以下のTS1症例の発見が重要である.膵嚢胞性疾患に対するEUSを施行した2009年から2011年までの連携前症例と2011年9月から盛岡市で地域連携の試みを行った連携後症例の比較検討を行った.【対象】2009年1月から2011年8月までの連携前群67例と,2011年9月からの連携後群症例74例を比較検討した.【方法】検診などで膵管拡張や膵嚢胞が認められた症例で膵癌発症のリスクある患者に,MRI,MRCP,EUSを外来で行う.膵癌の可能性ある症例には,入院してERCPから経鼻膵管ドレナージ(ENPD)で経時的に膵液細胞診(膵管に5ないし6Frの経鼻膵管チューブを1日留置して繰り返しの細胞診を行う)を行い,悪性所見が認められたら,切除の方針とする.連携としては毎月1回,診察や投薬,腹部超音波検査や採血は連携医で施行し,6ヶ月に1回は拠点病院でMRI,EUS で経過をみる.【成績】連携前群67例では19例が手術を受け,通常型膵癌10例(膵頭部7例,体尾部3例)であった.IPMN分枝型(29例)では5例が手術され,微小浸潤癌は1例であった.他,粘液産生癌1例,神経内分泌腫瘍1例であった.連携後群74例では8例が手術を受けた.IPMN分枝型(40例)では3例が手術され,いずれも微小浸潤癌であった.通常型膵癌は4例(膵頭部3例,体尾部1例)であった.全観察期間中,胃癌2例,膀胱癌1例,胆嚢癌1例,胆石1例,慢性膵炎1例でも手術が行われた.化学療法は5例で行われている.【結論】膵嚢胞性病変をメルクマールにすることで連携後群の方がより早期に膵癌を発見できた.膵癌早期発見の地域連携パスの活用は膵嚢胞性疾患を取り扱う上で重要な戦略と考え継続して行っていきたい.
索引用語 IPMN, 膵嚢胞