セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

膵臓-診断2

タイトル 内P-733:

Optical Coherence Tomographyを用いたIPMNの描出能の検討

演者 鈴木 雅貴(宮城県立がんセンター・消化器科)
共同演者 虻江 誠(宮城県立がんセンター・消化器科), 塚本 啓祐(宮城県立がんセンター・消化器科), 鈴木 眞一(宮城県立がんセンター・消化器科), 野口 哲也(宮城県立がんセンター・消化器科), 内海 潔(宮城県立がんセンター・消化器科), 及川 智之(宮城県立がんセンター・消化器科), 相澤 宏樹(宮城県立がんセンター・消化器科), 小野寺 博義(宮城県立がんセンター・消化器科)
抄録 【背景・目的】近年,光の干渉現象を利用して微細な断層像を得るOptical Coherence Tomography(OCT)が開発され,IDUSの約10倍,300MHzに相当する空間分解能を持つとされる.今回IPMNの膵管上皮を用いてOCTの描出能に関して検討を加えた.【対象・方法】2008年8月から2011年6月までにOCTを施行した胆膵疾患は24例で,そのうち手術を施行したIPMN症例9例を対象にした.切除標本を用いて正常膵管上皮,IPMA,IPMCのOCT像を病理組織学的所見と比較検討した.検討切片は141切片で,内訳は正常上皮38切片(円柱上皮9,立方上皮29),IPMA(軽度異型)59切片,IPMA(borderline)32切片,IPMC12切片であった.7例ではEndoscopic OCT(EOCT)を施行し,EOCT画像も含め検討した.【結果】正常膵管立方上皮は最内層の高輝度の均一な薄い層として描出され,円柱上皮ではこの最内層の高輝度層の外側寄りにより強い高輝度の部分を認め,極性の乱れのない細胞核と考えられた.このように立方上皮と円柱上皮の鑑別も可能であった.低異型度のIPMA粘膜は凹凸を伴う最内層の厚さの増大,最内層の輝度の低下,基底部に位置する細胞核の描出で診断できた.borderline IPMAやIPMCでは最内側の高輝度層の比較的均一な輝度の上昇を認め,核の極性の乱れ,重層化を反映しているものと考えられた.この所見によるborderline IPMA及びIPMCの正診率は91.3%,感度は84.7%,特異度は100%であった.【結論】OCTでは一層の円柱上皮,立方上皮の鑑別も可能であった.さらに細胞核も認識できることから,構造異型のみならず細胞異型も判断できる可能性が示唆された.よってIPMNのみならず本来なら顕微鏡的病変であるpancreatic intraepithelial neoplasia(PanIN)の画像診断ができる可能性があり,今後側方進展のみならず膵癌の初期像の診断においても大いに貢献できる可能性が示唆された.
索引用語 OCT, IPMN