セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

膵臓-診断3・膵症例

タイトル 内P-736:

膵炎を合併した膵腺房細胞癌の一例

演者 徳重 浩一(鹿児島厚生連病院・消化器内科)
共同演者 福田 芳生(鹿児島厚生連病院・消化器内科), 渋谷 明日香(鹿児島厚生連病院・消化器内科), 宮原 広典(鹿児島厚生連病院・消化器内科), 谷口 鎌一郎(鹿児島厚生連病院・消化器内科), 中村 勇一(鹿児島厚生連病院・消化器内科), 堀之内 博人(鹿児島厚生連病院・消化器内科), 山筋 忠(鹿児島厚生連病院・消化器内科), 中島 三郎(鹿児島厚生連病院・外科), 小倉 芳人(鹿児島厚生連病院・外科), 前之原 茂穂(鹿児島厚生連病院・外科), 松木田 純香(鹿児島厚生連病院・病理部), 山元 隆文(国立療養所星塚敬愛園・消化器内科), 木下 英幸(鹿児島生協病院・内科), 北島 義久(鹿児島生協病院・内科)
抄録 今回我々は,経過中に膵炎を発症した膵腺房細胞癌を経験したので報告する.【症例】60代 男性【既往歴】特記なし【生活歴】飲酒 0.5合/日 喫煙20本×40年 【現病歴】2012年6月,急性膵炎にて前医入院.CT,MRIにて膵頭部に24mm大の膵嚢胞を指摘されていた.その後外来通院中であったが9月に心窩部痛があり慢性膵炎の急性増悪にて入院.膵頭部嚢胞は造影効果のある充実性腫瘤として認識され38mmに増大し尾側膵管も拡張しており膵腫瘍の疑いにて当科紹介された.【経過】転院後EUSにて同部位に境界明瞭な低エコー腫瘤を認めFNAにてPNETが疑われた.CT,MRIにて多血性の充実性腫瘍で被膜様構造を認め同様にPNETが疑われた.また乳頭部に腫瘍の浸潤が疑われたためEGD施行し副乳頭に隆起性病変を認めた.転院後2週間目,強い心窩部痛がありCTにて造影CTGrade1の急性膵炎と診断,腫瘍は前回に比べ造影効果不良で嚢胞変性を伴っていた.外科的治療適応にて膵頭十二指腸切除術施行された.切除された膵臓は,壊死物質を貯留した嚢胞性病変とその周囲に白色調の結節性病変を認めた.免疫染色にてトリプシン陽性で一部synaptophysin陽性であるがchromograninA,CD56は陰性であり膵腺房細胞癌と診断された.嚢胞部はわずかに腫瘍細胞を認め周囲に著明な線維化を示していた.血管侵襲は中等度,リンパ管侵襲はなくリンパ節に癌の転移は認められなかった.腫瘍は副乳頭および下部胆管に浸潤をしていた.【まとめ】膵腺房細胞癌は膵外分泌腫瘍の約1%であり非常に稀な腫瘍である.今回経過中に膵炎を繰り返し,時期を同じくして腫瘍も嚢胞変性を認め膵炎との因果関係が示唆された.若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語 膵腺房細胞癌, 膵炎