セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

膵臓-診断3・膵症例

タイトル 内P-737:

分枝型IPMNの良悪性の鑑別における膵液洗浄細胞診+セルブロック作成の有用性― 新型8F-同軸ダブルルーメンカテーテルの有用性を含めて―

演者 丸木 実子(順天堂大・消化器内科)
共同演者 崔 仁煥(順天堂大・消化器内科), 佐藤 隆久(順天堂大・消化器内科), 稲見 義宏(順天堂大・消化器内科), 斉藤 紘昭(順天堂大・消化器内科), 伊藤 智康(順天堂大・消化器内科), 石井 重登(順天堂大・消化器内科), 小森 寛子(順天堂大・消化器内科), 金澤 亮(順天堂大・消化器内科), 椎名 秀一朗(順天堂大・消化器内科), 渡辺 純夫(順天堂大・消化器内科), 福村 由紀(順天堂大・人体病理病態学)
抄録 【目的】新国際診療ガイドライン(2012年版)により手術適応とされた分枝型IPMNに対する良悪性の更なる鑑別を目的に,自作同軸ダブルルーメンカテーテルを用いた膵液洗浄細胞診+セルブロック作成の有用性を検討した.【方法】 EUSにて膵管内乳頭状隆起を認め,ERCPにて分枝型IPMNと診断された36症例に対して,膵液洗浄細胞診を施行し,セルブロックを作成した.男女比は26:10,平均年齢は67歳であった.拡張分枝膵管の存在部位は頭部19例,体部10例,尾部7例であった.切除例11例(腺癌6例,腺腫5例),1年以上経過観察例25例であった.膵液洗浄細胞診は既報の通り6F同軸ダブルルーメンカテーテルを用いて行い,高度粘調粘液症例には新型の8F同軸ダブルルーメンカテーテルを用いて行った.得られた検体からパパニコロー染色,cell block標本下にHE染色, MUC 1,2,5,6の免疫染色を行った. 【成績】高度粘調粘液を伴った5例を含め,全例において30ml以上の洗浄液が採取可能であった.セルブロックの作成は全例において可能であり,腫瘍腺管も採取可能であった.洗浄細胞診+セルブロック作成の癌に対する感度88%,特異度100%,陽性的中率100%,陰性的中率94%であった.腺腫内癌も全例に診断可能であった.偽陰性の1例は,副膵管領域のIPMNで,病変へのアプローチが困難な症例であった.MUC染色の病理組織所見との一致率は,MUC1 83%,MUC2 83%,MUC5AC 100%,MUC6 100%であった.【結論】膵液洗浄細胞診+セルブロック作成は,腫瘍腺管を含めた十分量の検体採取が可能であり,MUC染色を含めた免疫染色も可能であることから,新国際診療ガイドライン(2012年版)により手術適応とされた分枝型IPMNの良悪性の鑑別および治療方針の決定に有用と考えられた.
索引用語 IPMN, 細胞診