セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

膵臓-診断3・膵症例

タイトル 内P-739:

9年3ヶ月の経過を経て切除された主膵管型IPMNの1例

演者 小池 祐太(市立札幌病院・消化器内科)
共同演者 西川 秀司(市立札幌病院・消化器内科), 藤田 與茂(市立札幌病院・消化器内科), 遠藤 文菜(市立札幌病院・消化器内科), 中村 路夫(市立札幌病院・消化器内科), 工藤 俊彦(市立札幌病院・消化器内科), 永坂 敦(市立札幌病院・消化器内科), 樋口 晶文(市立札幌病院・消化器内科)
抄録 【症例】60歳代,男性.【主訴】特になし.【現病歴】平成15年10月,慢性腎不全で当院腎臓内科入院中に肝機能障害の精査目的で腹部単純CT,MRCPが施行された.膵体部から尾部にかけてびまん性に最大7mmの主膵管拡張と膵体部に14mmの嚢胞性病変が認められ,混合型IPMNと診断した.腹部USでは膵体部主膵管内に壁在結節と思われる所見が認められ,更なる精査必要と考えられたが,本人の意思によりそれ以降当科に受診はされなかった.平成24年9月,約9年ぶりに当科を受診され精査したところ,主膵管拡張は最大19mmに進行しており,膵体部主膵管内には壁在結節が認められ,膵体部の嚢胞性病変も28mmに増大していた.膵頭十二指腸切除術が施行され,病理結果はIPMA intermediate-grade dysplasia,病変の主座は主膵管であり主膵管型IPMN(MD-IPMN)と診断された.【考察】近年,多く のIPMN症例が報告されるにつれ,臨床病理学的特徴が明らかとなってきている.IPMN新コンセンサスガイドラインでは10mm以上の主膵管拡張は”high-risk stigmata”と称され,手術適応とされている.ただMD-IPMNには主膵管拡張の程度,症状の有無,壁在結節の有無を含め,明確な悪性の指標は報告されてはいない.本症例はMD-IPMNが初診から9年3ヶ月後に手術され,19mmの主膵管拡張,壁在結節を認めたが,悪性化が認められなかった稀な症例である.MD-IPMNの手術適応に関しては未だ問題となる点は多く,若干の文献的考察を加えここに報告する.
索引用語 主膵管型IPMN, 手術適応