セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

膵臓-WON治療

タイトル 内P-740:

腹腔鏡に加え,胃内手術を併用して治癒し得た重症急性膵炎後膵周囲膿瘍の経験

演者 浦上 秀次郎(国立東京医療センター・外科)
共同演者 西原 佑一(国立東京医療センター・外科), 松永 篤志(国立東京医療センター・外科), 川口 義樹(国立東京医療センター・外科), 徳山 丞(国立東京医療センター・外科), 大住 幸司(国立東京医療センター・外科), 石 志絋(国立東京医療センター・外科), 島田 敦(国立東京医療センター・外科), 大石 崇(国立東京医療センター・外科), 磯部 陽(国立東京医療センター・外科), 松本 純夫(国立東京医療センター・外科)
抄録 重症急性膵炎は膵液瘻,敗血症,多臓器不全などの重篤な合併症を呈し,しばしば致死的である.一方,致死的でなくとも晩期合併症として膵周囲膿瘍,膿瘍消化管瘻などをきたし,治療に難渋することも少なくない.今回我々は,重症急性膵炎後の膵周囲膿瘍に対して内視鏡手技を応用して治療し,良好な結果を得た.【症例】51歳,男性.アルコール多飲常習歴あり.腹痛発症し,当院救命センター救急搬送.血液検査所見・画像所見で重症急性膵炎と診断(予後因子4点,造影CT Grade 3).動注療法,経腸栄養などの内科的治療を開始.全身状態は安定したが,膵体尾部に14cm大の膿瘍形成を認めた.発熱・炎症反応上昇はほとんど伴わず,保存的加療による膿瘍縮小を期待したが無効であった.EUS-FNAによるドレナージも検討したが膿瘍内容性状を考慮するとドレナージ不良が予測され,当科転科の上,発症5ヶ月後に手術を施行した.まず腹腔鏡操作により胃後壁と膵体部との癒着を確認.引き続き,胃瘻挿入テクニックを応用し,経皮的に胃内に3本のトロッカーを挿入.腹腔鏡を胃内に挿入し,透視を併用しながら胃後壁と膵周囲膿瘍壁とに小孔を作成し,自動縫合器により膵膿瘍胃吻合術を施行した.以後上部内視鏡により経胃的に膵周囲膿瘍掻爬処置を週1回,合計4回施行.これにより膿瘍は消失し,吻合部は閉鎖が確認された.術後1年現在,膿瘍は消失を維持し,再発所見は一切認めていない.【考察・結語】重症急性膵炎の合併症は多彩であり,治療期間は長期化する傾向がみられる.手術操作は難渋し,長時間を要したが腹壁破壊は最小限にすることができ,また術後も頻回の追加処置を要したが最終的な患者満足度も良好であった,個々の症例・症状に応じた個別手術治療戦略により良好な予後が期待できると考える.
索引用語 重症急性膵炎, 胃内手術