セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

ERCP胆管挿管法2

タイトル 内P-749:

選択的胆管挿管困難例に対するNeedle knife precutting papillotomyの検討

演者 後藤 大輔(川崎医大・2総合内科)
共同演者 浦田 矩代(川崎医大・2総合内科), 岡 好仁(川崎医大・2総合内科), 中村 純(川崎医大・2総合内科), 西野 謙(川崎医大・2総合内科), 末廣 満彦(川崎医大・2総合内科), 川中 美和(川崎医大・2総合内科), 河本 博文(川崎医大・2総合内科)
抄録 【背景・目的】Wire-guided cannulation(WGC)や膵管guidewire法(P-GW法)を用いても選択的胆管挿管困難な症例に対し,Needle knife precutting papillotomy(NKPP)は挿管率の向上に有効である.一方で膵炎や出血等の偶発症の可能性から,熟練者が行うべき処置とされ普及していない.今回,当施設におけるNKPPの有効性,安全性を検討した.【方法】初級者による通常挿管で挿管不能であればWGC,もしくはP-GW法に変更し,15分以内に挿管困難であった場合に上級者と交代,更に上級者が5分以内に挿管困難であった症例にNKPPを行った.また上級者から開始した場合は,概ね5分以内に挿管不能であった症例にNKPPを行った.Needle knifeはOlympus社製KD10Q-1を,高周波電源装置はErbe社製ICC200(Endocut mode,Effect 3:120W)を使用した.NKPPは十二指腸乳頭のorificeから口側隆起に向かって正中線上をfree handでまず粘膜面だけ切開,次いで粘膜下の括約筋を視認後更に切開を加え,胆管口を露出しcannulationを行った.この際,切開深度に留意しながら粘膜面を口側隆起上端まで切開し,括約筋を十分視認することが成功のコツである.【成績】2011年1月から2013年2月において選択的胆管挿管を行った症例は602例,うちnaive papillaは391例あり,NKPPを41例(41/391:10.5%,良性33例,悪性8例)に行った.NKPP後の胆管口の初回同定率は87.8%(36/41)であった.First attempt cannulation成功率は90.2%(37/41)で,全体の初回挿管率は99.0%(387/391)であった.Second attempt cannulationも含めると全例(100%)で挿管に成功した.治療開始より挿管までに要した時間は中央値24(5-60)分であった.偶発症は膵炎を3例(7.3%)に認めたが,出血,穿孔や乳頭炎は認めなかった.【結論】NKPPはERCP上級者が行えば比較的安全に施行でき,かつ,胆管挿管率の向上,ならびに処置時間の短縮に有用である.ERCP上達のためにNKPPの習熟は必要と考える.
索引用語 Needle knife precutting papillotomy, 選択的胆管挿管