セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胆管結石5・抗血栓療法症例に対するERCP

タイトル 内P-752:

急性胆石性膵炎に対する内視鏡的膵管ステント留置術の有用性

演者 平子 匡(伊達赤十字病院・消化器科)
共同演者 久居 弘幸(伊達赤十字病院・消化器科), 小柴 裕(伊達赤十字病院・消化器科), 和田 浩典(伊達赤十字病院・消化器科), 宮崎 悦(伊達赤十字病院・消化器科), 岡川 泰(伊達赤十字病院・消化器科DELIMITER札幌医大・4内科), 嘉成 悠介(伊達赤十字病院・消化器科DELIMITER札幌医大・4内科)
抄録 【目的】内視鏡的膵管ステント留置術(EPS)は,ERCP後膵炎予防や様々な膵疾患の治療に有用な手技であるが,急性胆石性膵炎(ABP)に対するEPSの有用性に関する報告は散見されるのみである.今回,ABPに対するEPSの有用性について検討した.
【方法】対象はH14年1月~H25年2月に経験したABP 91例のうち,入院48時間以内にERCPを施行した60例(23~97歳,平均75歳,男性28例).膵管ステントは5Fr3cm両端flap付Geenen pancreatic stent(COOK Endoscopy)を使用し,ABPの定義はSanjayらの報告(Surg Endosc 2008)に従った.EPSを施行した26例(A群)とEPSを施行しなかった34例(B群)について,背景因子,胆管挿管率(胆管ドレナージ率),EST施行率,偶発症などをretrospectiveに比較検討した.
【成績】1)年齢,性別,入院からERCPを施行するまでの時間,初回ERCP検査時間,厚労省急性膵炎重症度判定基準(2008年)の重症度(A群 重症9/軽症17,B群 重症9/軽症25),入院時血清amylase値,CRP値などに関して両群に有意差は認めなかった.抗血栓薬服用率ではA群 31.0%(8/26)はB群 8.8%(3/34)に比して有意に高率であった(P=0.044).2)初回ERCPの選択的胆管挿管率はA群88.5%(23/26),B群 94.1%(32/34)であり有意差は認めなかった(P=0.644).3)初回ERCPでのEST(needle knife precut含む)施行率では,A群 68.0%(17/26)はB群 100%に比して有意に低率であった(P=0.0002).また,初回截石施行率もA群 3.8%(1/26)はB群 35(12/34)に比して有意に低率であった(P=0.004).4)膵合併症(acute necrotizing collection/walled-off necrosisへの進展,necrosectomy施行)ではA群 7.7%(2/26),B群 5.9%(2/34)であり有意差は認めなかった(P>0.999)が,ABPによる死亡率ではA群0%はB群 11.8%(4/34)に比して低率であった(P=0.126).
【結論】ABPに対するEPSは安全で有用な手技であり,EST困難例や抗血栓薬服用例などのEST不適切例に対して有用である.真の有用性の評価には,prospective RCTが必要である.
索引用語 急性胆石性膵炎, 内視鏡的膵管ステント留置術