セッション情報 |
ポスターセッション(消化器内視鏡学会)
胆管結石5・抗血栓療法症例に対するERCP
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タイトル |
内P-753:抗血栓薬服用者に対する内視鏡的乳頭括約筋切開術を含む乳頭処置の現状について
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演者 |
江藤 和範(苫小牧市立病院・消化器科) |
共同演者 |
武藤 修一(苫小牧市立病院・消化器科), 小西 康平(苫小牧市立病院・消化器科), 宮本 修一(苫小牧市立病院・消化器科) |
抄録 |
【背景】抗血栓薬服用者に対する内視鏡的乳頭括約筋切開術 (EST) は出血高危険度に分類されている.しかし,救急対応や基礎疾患の状況により休薬が困難な場合がある.【目的】抗血栓薬服用群と非服用群における乳頭処置による偶発症発症率を後方視的に検討した.【対象】2012年4月から2013年3月までの期間に当院で内視鏡的逆行性膵胆管造影 (ERCP)を施行した206例を対象とした.【検討項目】1)抗血栓薬の服用状況,2)乳頭処置の有無と休薬状況,3)抗血栓薬服用群における乳頭処置による偶発症.【結果】1)49例(24%)が抗血栓薬服用者であった.抗血栓薬服用状況は,単剤33例,2剤併用 16例.服用薬剤は,バイアスピリン 31例,プレタール 3例,プラビックス 12例,プラザキサ 7例,ワーファリン 16例.2)117例(57%)で乳頭処置を施行した.乳頭処置の内容は,ESTのみ 105例,内視鏡的乳頭大口径バルーン拡張術(EPLBD) 11例 (ESTの既往あり 9例,ESTの既往なし 2例),プレカット 1例であった.117例のうち25例が抗血栓薬服用者であった.そのうち休薬者は4例であり,21例は休薬なしで施行した.3)抗血栓薬服用群における合併症は5例(24%:5/21)であった.合併症の内訳は,ERCP後膵炎 4例(軽症 2例,中等症 1例,重症 1例),後出血 1例 (中等症)であった.後出血症例は,バイアスピリンとプラビックス併用者に対して休薬なしでESTを施行し,発症した.抗血栓薬非服用群における合併症は14例(15%:14/92)であった.偶発症の内訳は,ERCP後膵炎(軽症) 2例,胆嚢炎 1例,術中出血 1例 (軽症),後出血 1例 (軽症)であった.術中出血と後出血症例は,いずれもEST施行例であった.また,観察期間内には脳梗塞や心筋梗塞といった血栓症のイベント発症はみられなかった.【結語】抗血栓薬服用患者における乳頭処置後の偶発症発症率には明らかな有意差はみられなかった.単施設後方視的かつ少数例の検討ではあるが,乳頭処置前の抗血栓薬内服の休薬の必要性はないものと考えられた. |
索引用語 |
EST, 抗血栓薬 |