セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胆管結石5・抗血栓療法症例に対するERCP

タイトル 内P-754:

新ガイドライン下の抗血栓薬服用患者に対するERCPの実際

演者 渡辺 晃(福島県立医大・消化器・リウマチ膠原病内科)
共同演者 引地 拓人(福島県立医大附属病院・内視鏡診療部), 高木 忠之(福島県立医大・消化器・リウマチ膠原病内科), 佐藤 匡記(福島県立医大・消化器・リウマチ膠原病内科), 池田 恒彦(福島県立医大・消化器・リウマチ膠原病内科), 中村 純(福島県立医大・消化器・リウマチ膠原病内科), 杉本 充(福島県立医大・消化器・リウマチ膠原病内科), 藁谷 雄一(福島県立医大・消化器・リウマチ膠原病内科), 小原 勝敏(福島県立医大附属病院・内視鏡診療部), 大平 弘正(福島県立医大・消化器・リウマチ膠原病内科)
抄録 【目的】当院では2012年9月より「抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン」(以下, 新ガイドライン)に基づいてERCPを施行している.当院のERCPの実際から新ガイドラインの妥当性を検証した.【方法】2012年9月から2013年2月に,当院でERCPを施行した抗血栓服用者34例を対象に,患者背景,抗血栓薬の対応,治療における出血偶発症,休薬時の血栓塞栓症について検討した.【成績】患者背景は,平均73.4歳(52-86),男性25例,女性9例であり,背景疾患は,胆管結石症19例,膵・胆道癌10例,他5例であった.抗血栓薬服用の基礎疾患は,虚血性心疾患9例,心房細動9例,心臓弁置換術後5例,脳梗塞3例,他6例であった.抗血栓薬の服用状況は,抗血小板薬単独15例,抗凝固薬単独9例,両者併用10例であり,14例(41.2%)で抗血栓薬服用を継続した (抗血小板薬9例,抗凝固薬5例).抗血小板薬の継続のうちの1例は,クロピドグレルをシロスタゾールに置換した.15例(44.1%)でヘパリン置換を施行したが,3例は抗血小板薬からのヘパリン置換であった(いずれも他科入院または転院例).治療は,19例で膵・胆道ステント留置術を,18例で内視鏡的乳頭括約筋切開(EST)を施行された.ステント留置術のうち,47.3%(9例)で抗血小板薬継続,42.1%(8例)でヘパリン置換を施行されたが,出血をきたした症例はなかった.EST例では,抗血小板薬継続例38.9%(7例), ヘパリン置換例61.1%(11例)で(ヘパリン置換とアスピリン併用2例を含む),後出血は1例(5.6%)だった.血栓塞栓症は認めた症例はなかった.【結論】血栓塞栓症予防の点から新ガイドラインは妥当と思われるが,ESTでは術後の出血に注意を払う必要がある.また,他科や他院の症例で,抗血小板薬をヘパリンに置換している場合があり,新ガイドラインの啓蒙も重要であると思われた.
索引用語 抗血栓薬, ERCP