セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胆管結石5・抗血栓療法症例に対するERCP

タイトル 内P-755:

当院における抗血小板薬及び抗凝固薬服用中の総胆管結石症例に対するEST・EPBD施行例の検討

演者 有住 俊彦(三井記念病院・消化器内科)
共同演者 齊藤 圭(東京大・消化器内科), 戸田 信夫(三井記念病院・消化器内科)
抄録 【目的】“抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン”では内視鏡的乳頭バルーン拡張術(EPBD)では出血の低リスクである事から抗血小板薬中止の必要はなく,内視鏡的乳頭切開術(EST)ではアスピリンは中止の必要はないが,他の抗血小板薬については休薬が必要としている.しかし,EPBDについてはエビデンスに乏しく,ESTについては日本人のデータはない.当院で行った抗血小板薬及び抗凝固薬服用中の総胆管結石症例に施行したEST・EPBDの成績を検討し,手技の安全性について検討した.【方法】当院で2001年1月から2012年12月までに施行した総胆管結石症例のERCP関連手技2112例のうち抗血小板薬及び抗凝固薬服用中に施行したEST47例,EPBD50例を対象とした.これらの症例での服用薬剤,治療成績,偶発症に関して検討した.偶発症重症度はCottonの分類に従った.【成績】患者背景は,EST群は平均78.6歳,男性34例,女性13例,EPBD群では平均74.4歳,男性38例,女性12例であった.EST群では10例(21.2%)が抗血小板薬2剤を服用しており,EPBD群では12例(24%)が抗血小板薬2剤を服用,4例(8%)が抗凝固薬(ワーファリン)を服用していた.ワーファリン服用例のうち2例は抗血小板薬を併用していた.治療手技についてはEST群では24例(51.1%),EPBD群では44例(88.0%)で結石除去を行っており,充分に処置可能であった.偶発症については,穿孔は両群共に認めなかった.膵炎はEST群で認めなかったのに対しEPBD群で4例(8%)を認めた.出血については,EST群では抗血小板薬2剤服用例で出血(重症)1例(2.0%)を認めたが,EPBD群では出血例を認めなかった.またプラビックス服用13例(EST10例EPBD3例)では出血を認めなかった.【結論】抗血小板薬服用中の総胆管結石症例に対してもEST・EPBDは安全に施行可能である.
索引用語 抗血小板薬, EST