セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

ERCP関連偶発症1

タイトル 内P-767:

当院における80歳以上の高齢者のERCP関連処置の合併症に関する検討

演者 城 尚志(大阪厚生年金病院・内科DELIMITER大阪船員保険病院・内科)
共同演者 武田 梨里(大阪厚生年金病院・内科), 北 久晃(大阪厚生年金病院・内科), 河合 知代(大阪厚生年金病院・内科), 西塔 民子(大阪厚生年金病院・内科), 中田 悠紀(大阪厚生年金病院・内科), 千葉 三保(大阪厚生年金病院・内科), 前田 晃作(大阪厚生年金病院・内科), 内藤 雅文(大阪厚生年金病院・内科), 道田 知樹(大阪厚生年金病院・内科), 伊藤 敏文(大阪厚生年金病院・内科)
抄録 【目的】高齢者医療を考える際は高危険群としての対処が必要と考えられるが,医療現場では高齢者の治療対象症例は増加している.今回我々は,当院で経験した80歳以上の高齢者を対象としたERCP施行症例の背景,処置内容とその合併症について臨床的検討を加えた.【対象】当院にて2010年1月から2012年12月まで,ERCPを施行した80歳以上の186症例(男性70例,女性116例)を対象とした.中止例は22例であった.【方法】80歳台群,90歳台群,および80歳以上の全体群において,背景因子とERCP合併症発生率を,年代別,男女別,処置内訳(EST,総胆管結石排石術,胆管ステント留置術,膵管ステント留置術,胆汁細胞診採取,膵液細胞診採取,膵管造影術,ERCP検査時間過多(30分以上)),抗凝固薬内服,傍乳頭憩室,術後胃,術前の胆管炎発症の有無について,検討した.【結果】186例全例での合併症は21例であった.80歳台群161例中の合併症は20例(膵炎7例,胆管炎6例,過鎮静4例,マロリーワイス症候群2例,EST後出血1例),90歳台群25例中の合併症は1例(胆管炎1例)であった.80歳台群と90歳台群で合併症発生率に有意差は認めなかった.総胆管結石排石術施行群は未施行群と比較し,全体群での各々の合併症発生率11/62,10/124であり,有意差を認め,胆汁細胞診採取施行群は未施行群と比較し,80歳台群各々4/13,16/148,および全体群各々4/14,17/172であり,両群において合併症発生率が有意に高率であった.その他条件の有無では,80歳台群,90歳台群,および全体群のいずれにおいても合併症発生率に有意差は認めなかった.【結論】80歳以上の高齢者においても慎重に手技を施行することによりERCP合併症の頻度は比較的低かったが,総胆管結石排石術や胆管細胞診等の侵襲的処置に関しては全身状態の評価や適応を十分考慮した上で,合併症に注意し施行することが重要であると考えられた.
索引用語 ERCP, 合併症