セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

ERCP関連偶発症1

タイトル 内P-772:

EST術中および後出血に対するcovered metallic stent留置術の有用性

演者 平子 匡(伊達赤十字病院・消化器科)
共同演者 久居 弘幸(伊達赤十字病院・消化器科), 小柴 裕(伊達赤十字病院・消化器科), 岡川 泰(伊達赤十字病院・消化器科DELIMITER札幌医大・4内科), 宮崎 悦(伊達赤十字病院・消化器科), 嘉成 悠介(伊達赤十字病院・消化器科DELIMITER札幌医大・4内科)
抄録 【目的】内視鏡的乳頭括約筋切開術 (EST)に伴う術中出血および後出血に対する止血法として,エピネフリン添加生食散布,バルーン圧迫法 (BA),クリッピング,HSEなどによる局注法,ヒートプローブ凝固 (HPC)などが報告されているが,複数の手技を用いることはERCPの偶発症の増加の可能性や手技時間の延長に繋がり,患者に対しては不利益である.今回,EST後の出血に対してCMS留置による止血術を行い,その有用性について検討した.
【方法】対象は2011年5月~2013年2月にEST後の出血に対してCMS留置を留置した5例 (年齢64~80歳,平均72歳,男性4例,女性1例).疾患内訳は胆管結石2例,膵頭部癌3例 (切除不能2例,術前1例)で,術中出血4例,後出血1例 (EST4日後)であった.抗血栓薬服用例,血液凝固異常を呈した例はなく,1例に慢性腎不全(血液透析中)を認めた.全例被覆型パピロトーム (Clever-Cut 3V,Olympus)を用いてガイドワイヤー誘導下に小~中切開でESTを施行した.使用CMSは10mm径,6cm長のcovered WallFlex (Boston scientific)で,partially-covered 1例,fully-covered 4例であった.検討項目は,1) 治療成績,2) CMS抜去および偶発症とした
【成績】1) 初回止血法は全例エピネフリン添加生理食塩水散布で,追加処置としてBA+HPC 1例,BA+HPC+HSE局注 1例を施行したが,全例活動性出血が持続し,CMSを留置した.留置直後に湧出性出血を認めた1例にHSE局注を追加した.2) 全例後出血は認めず,手術を施行した膵癌を除く4例は全例抜去可能で,抜去に伴う偶発症は認めなかった.膵癌の1例は軽症膵炎を来し,翌日CMS抜去後plastic stentを留置した.膵癌1例,胆管結石症1例で胆管炎を来し(留置51日後,17日後)抜去した.
【結論】EST術中出血および後出血に対するCMS留置による止血術は有用で抜去も容易であるが,留置後の偶発症を念頭に置き対処することが重要である.今後,多施設での前向き研究が必要である.
索引用語 EST後出血, covered metallic stent