セッション情報 | ポスターセッション(消化器内視鏡学会)ERCP関連偶発症2 |
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タイトル | 内P-773:ERCP後に発症した肝被膜下血腫の1例 |
演者 | 吉井 重人(浜松医療センター・消化器内科) |
共同演者 | 松永 英里香(浜松医療センター・消化器内科), 石田 夏樹(浜松医療センター・消化器内科), 太田 和義(浜松医療センター・消化器内科), 下山 真(浜松医療センター・消化器内科), 松浦 愛(浜松医療センター・消化器内科), 森 泰希(浜松医療センター・消化器内科), 住吉 信一(浜松医療センター・消化器内科), 岩岡 泰志(浜松医療センター・消化器内科), 高井 哲成(浜松医療センター・消化器内科), 本城 裕美子(浜松医療センター・消化器内科), 影山 富士人(浜松医療センター・消化器内科), 山田 正美(浜松医療センター・消化器内科) |
抄録 | 【背景】肝被膜下血腫は肝表面の臓側腹膜と肝実質の間に生じた血腫で,一般的に外傷で生じることがよく知られている.一方,ERCPに伴う偶発症としても肝被膜下血腫の報告例はあるが,その数は極めて少なくほとんどが外国の報告で,医中誌で検索しえた範囲では本邦からの報告例はない.今回われわれは,ERCP後に肝被膜下血腫を発症した稀な症例を経験したので報告する.【症例】86歳,女性.総胆管結石の治療のため入院.複数個(max 15mm)の総胆管結石に対しERCPを行い,リソトリプター,バスケットカテーテルなどを用いて砕石・排石処置を繰り返し施行した.ERCP(4回目)施行39時間後に,右季肋部~側腹部痛が出現・増悪した.緊急でCTを施行したところ,肝右葉外側被膜下に一部airを有した液体の貯留する約6×4cm大の凸レンズ状の嚢胞状病変を認めた.造影CTではextravasationはみられなかった.嚢胞状病変に対し経皮的穿刺をしたところ血液が吸引されたため,肝被膜下血腫と診断した.腹部所見の増悪や画像的に血腫の増大傾向がないため,数日間絶食とし点滴・抗生剤投与で保存的に治療し改善をみた.約2ヵ月後のCTでは,肝被膜下血腫は著明に縮小した.【考察】肝被膜下血腫がERCPの偶発症として最初に報告されたのは,2001年Ortegaらによる.肝被膜下血腫は,ガイドワイヤ先端で偶発的に肝内細径血管に裂傷や断裂をきたすことで生ずると説明され,その診断はCTやUSなどの画像診断に頼らざるを得ない.治療は,多くが保存的治療で改善するが,造影CTでextravasationを認めたり,出血が持続し循環動態が不良な症例ではIVRや外科的処置などの侵襲的処置が必要になることもある.肝被膜下血腫はERCPに伴う偶発症として極めて稀ではあるが,ERCP後に腹痛や貧血の進行を認めた患者では考慮すべき偶発症の一つとして認識しておく必要がある. |
索引用語 | 肝被膜下血腫, ERCP |