セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

B型肝炎-病態・診断1

タイトル 肝P-1:

HBV複製系の開発に向けた肝細胞株の選択

演者 奥村 暢章(岡山大大学院・腫瘍ウイルス学)
共同演者 池田 正徳(岡山大大学院・腫瘍ウイルス学), 武田 緑(岡山大大学院・腫瘍ウイルス学), 團迫 浩方(岡山大大学院・腫瘍ウイルス学), 加藤 宣之(岡山大大学院・腫瘍ウイルス学)
抄録 【目的】培養系におけるHBVの感染は,現在までのところ初代培養肝細胞などの限られた細胞で一過性の感染のみ成立することが報告されており,持続感染可能な培養細胞モデルは未だない.最近,HBVの感受性を規定する受容体としてNa+-taurocholate cotransporting polypeptide (NTCP)が同定された.そこで本実験ではHBVの持続感染培養系の開発に向け,肝由来各種細胞株におけるNTCPの発現レベルと,HBVの産生能について検討し,HBVの培養系に適した細胞株をスクリーニングした.【方法】細胞株として10種の肝癌細胞株,4種の不死化肝細胞株とヒト肝細胞キメラマウス由来初代培養肝細胞を用いた.各種細胞株におけるNTCP mRNAの発現レベルはリアルタイムRT-PCRで検討した.またHBV産生能は,1.24倍長のHBV遺伝子が組み込まれたHBVプラスミド(pUC19/C_JPNAT(genotype C))をFuGene HDを用いて細胞に一過性に導入し,培養上清中へのHBsAgの放出を指標として評価した.【成績】NTCP mRNAの発現レベルは,ヒト肝細胞キメラマウス由来の単離肝細胞では肝組織と同等の発現レベルであったが,培養に伴い減少した.肝癌細胞株ではHuH-6のみでNTCP mRNAの発現が認められ,他の細胞株では発現が認められなかった.さらに不死化肝細胞株においてもNTCPの発現は認められなかった.HBsAg産生能は,肝癌細胞株で産生能が高く,その中でHep3Bが最も高かった.不死化肝細胞株ではHBsAgの産生はほとんど認められなかった.また初代培養肝細胞においてはHBsAgの産生が認められるものの,肝癌細胞株よりは低かった.【結論】培養系においてHuH-6がHBV感受性の細胞株として,またHep3BがHBsAgの産生細胞株としての候補になることが示された.今後はこれらの細胞株を用いて,HBVの持続感染系の開発を行う予定である.
索引用語 HBV, 肝細胞株