セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

B型肝炎-病態・診断1

タイトル 肝P-2:

次世代シークエンサーを用いたHBV Pre-S領域の遺伝子学的検討

演者 小松 信俊(山梨大・1内科)
共同演者 前川 伸哉(山梨大・1内科), 辰巳 明久(山梨大・1内科), 三浦 美香(山梨大・1内科), 雨宮 史武(山梨大・1内科), 中山 康弘(山梨大・1内科), 井上 泰輔(山梨大・1内科), 坂本 穣(山梨大・1内科), 榎本 信幸(山梨大・1内科)
抄録 【背景・目的】HBVの病態進展にPre-S領域の遺伝子欠失や変異が関係していることがdirect sequenceを用いた検討により報告されている.一方,deep sequenceでこれらを検討した報告はない.そこでPre-S領域のdeep sequenceを行いHBVの病態の進展との関連について遺伝子学的検討を行った.【方法】核酸アナログ製剤未投与のB型肝炎の既往のある72症例の患者の保存血清からHBV-DNAを抽出してPre-S領域に関してRoche Genome Sequencer Juniorによりdeep sequenceを行った.結果をもとにPre-S1/S2領域の遺伝子欠失(deletion)と各領域の開始アミノ酸であるメチオニン(M)の遺伝子変異(mutation)に関して検討を行った.有効変異率に関してはHBV plasmid DNAの変異出現率を基準に0.02%以上を有意な変異として検討した.【成績】無症候性キャリア(ASC群):18症例,慢性肝炎(CH群):25症例,肝硬変(LC群):29症例であった.Deletionに関してはPre-S1/S2領域においてLC群の27.6%(n=8)/62.1%(n=18),CH群の40%(n=10)/56%(n=14),ASC群の11.1%(n=2)/16.7%(n=3)に認めた.Pre-S1/S2領域のdeletionの混在比率は0.9~85.9%(平均:6.8%)/0.03~100%(平均:20.9%)であった.一方,mutationに関してはPre-S1/S2領域においてLC群の44.8%(n=13)/100%(n=29),CH群の80%(n=20)/92%(n=23),ASC群の72.2%(n=13)/94.4%(n=17)に認められた.Pre-S1/S2領域のmutationの混在比率は0.1~2.2%(平均:0.4%)/0.05~99.5%(平均:19.7%)であった.Pre-S1領域のdeletionとmutation,Pre-S2領域のmutationに関しては群間に有意差は認められなかったが,Pre-S2領域にdeletionを有する症例はASC群に比べCH群,LC群において有意(p<0.01)に多かった.【結語】HBVの病態進展とPre-S2領域のdeletionとの関連が示唆された.Deep sequenceを用いることでマイナークローンを含めたPre-S領域の遺伝子学的検討をより詳細に行うことが可能であった.
索引用語 B型肝炎, 次世代シークエンス