セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

B型肝炎-病態・診断1

タイトル 肝P-4:

ルミパルス法にて陰性でHISCL法にてHBsAg陽性が確認され,再活性化が回避されたネフローゼ症候群合併HBVキャリアーの一例

演者 高橋 秀明(聖マリアンナ医大・消化器・肝臓内科DELIMITER札幌しらかば台病院・消化器科DELIMITER札幌医大・分子生物学)
共同演者 重福 隆太(聖マリアンナ医大・消化器・肝臓内科), 池田 裕喜(聖マリアンナ医大・消化器・肝臓内科), 松永 光太郎(聖マリアンナ医大・消化器・肝臓内科), 松本 伸行(聖マリアンナ医大・消化器・肝臓内科), 奥瀬 千晃(聖マリアンナ医大・消化器・肝臓内科), 鈴木 通博(聖マリアンナ医大・消化器・肝臓内科), 伊東 文生(聖マリアンナ医大・消化器・肝臓内科)
抄録 【目的】従来のRPHA法に比べて高感度であるCLEIA法のHBs抗原定量検査の確立により,以前では検出できなかったlow titerのHBs抗原陽性者がみられるようになった. 今回, ルミパルス法にて陰性でHISCL法にてHBsAg陽性が確認されたネフローゼ症候群合併HBVキャリアーの一例を経験したので報告する.
【症例】45歳, 男性. 2006年頃より下肢の浮腫, 体重増加を自覚していたが放置していた. 2009年4月下肢の浮腫が増悪し近医受診, 利尿剤や降圧剤など処方されたが改善なく当院腎臓高血圧内科を紹介受診, 高コレステロール血症, 低蛋白, 1日蛋白尿7.3g/日等が認めることからネフローゼ症候群が疑われ, 精査加療目的にて入院となった. 腎生検が検討されたが同意が得られず施行できなかったが, 検査所見などにより微小変化型と判断. 2回のHBsAg(ルミパルス法)検査にて陰性であったためプレドニン40mg/日で開始となった. 治療開始後にHBVマーカースクリーニングに関し当科に相談があり確認したところ, HBsAgは陰性であったがcut off indexが2回の検査で0.6, 0.7であったためHISCL法にて再検, 0.14IU/mlと陽性であった. HBV-DNAも2.6 log copies/mlであったためエンテカビルの投与が開始となった. 蛋白尿はステロイド開始後速やかに改善を認め, またステロイド減量後も現在まで蛋白尿の増悪やHBVの再活性化は認めていない.
【結論】HBsAg定量系であるHISCL ( CLEIA 法) は従来の測定系と比較し感度が高く, HBVキャリアーの拾い上げに有用である. 今までキャリアーではないと思われていた症例の中に, 低力価HBsAg, 低DNA量を有する症例が存在することが確認された. HBsAg陰性者からのde novo 肝炎と思われていた症例の中に, 本来キャリアーからの再活性化による肝炎が存在する可能性があり, 注意が必要である.
索引用語 HBs抗原定量, 再活性化