セッション情報 |
ポスターセッション(肝臓学会)
B型肝炎-病態・診断1
|
タイトル |
肝P-5:当院におけるエンテカビル投与症例のHBs抗原量の推移について
|
演者 |
高畠 弘行(倉敷中央病院・消化器内科) |
共同演者 |
萱原 隆之(倉敷中央病院・消化器内科), 詫間 義隆(倉敷中央病院・消化器内科), 守本 洋一(倉敷中央病院・消化器内科), 山本 博(倉敷中央病院・消化器内科) |
抄録 |
【目的】B型慢性肝疾患に対する治療目標は肝炎の鎮静化からHBV核酸量の低下さらにはHBsAg消失へと目標が移ってきており,核酸アナログ治療においてはHBsAg量(以下HBsAg),HBcrAg量から投与中止のrisk評価を行う試みも提示されている.B型肝炎に対する核酸アナログの現在の第一選択薬であるエンテカビル投与中のHBsAgの推移について検討した.【方法】B型慢性肝疾患に対し,当院でエンテカビルが投与された116例(男性82例・女性34例,初回投与例107例・ラミブジンからの変更例9例),開始時平均年齢52.7±10.4歳について,HBsAgを低下の有無,最終観察時に核酸アナログ投与中止の低risk基準とされるHBsAg80IU/L未満達成の有無を投与開始時の諸条件や投与期間などとの関係を含め検討を行った.【成績】観察期間の中央値は44か月で最長116か月であった.投与開始時には55例でHBeAgは陽性を示し,HBsAgの中央値は2175IU/Lであった.最終観察時のHBsAgの中央値は1337.5IU/Lで,81例でHBsAgの低下を認めた.HBsAgの陰性化を認めた症例は2例,HBsAg 80IU/L未満を達成したのは,11例であった.同因子達成の有無においては性別・投与期間・開始時のHBVDNAなどに有意差を認めたが,開始時の年齢・HBsAg・HBeAg・開始時のALT値などには有意差を認めなかった.また,核酸アナログ中止低risk基準として提唱されているHBsAg<80・HBcrAg<3.0をともに達成したのは4例のみであった.【結論】エンテカビル投与中にHBsAgの低下を認める症例は少なくないが,低下は緩徐であり,HBsAg陰性化はまれで核酸アナログ中止の低riskとされるHBsAg80IU/L未満は少数例にとどまった.HBsAg低値は男性・長期投与例・開始時のHBVDNAの低い例が多かったが,長期投与例で必ずしも低値をとるとは限らず,効果予測も容易では無いものと考えられた.従来は,定量的な意義があまり重視されていなかったHBsAgのモニターも適宜行うことが必要であることが示唆され,今後,より長期に多数例での検討が必要と考えられた. |
索引用語 |
B型肝炎, エンテカビル |