セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

B型肝炎-病態・診断2

タイトル 肝P-6:

HBs抗原の推移からみたB型慢性肝炎の発癌

演者 長岡 進矢(国立長崎医療センター・臨床研究センター)
共同演者 釘山 有希(国立長崎医療センター・臨床研究センター), 佐々木 龍(国立長崎医療センター・臨床研究センター), 戸次 鎮宗(国立長崎医療センター・臨床研究センター), 宮副 由梨(国立長崎医療センター・臨床研究センター), 橋元 悟(国立長崎医療センター・臨床研究センター), 佐伯 哲(国立長崎医療センター・臨床研究センター), 阿比留 正剛(国立長崎医療センター・臨床研究センター), 山崎 一美(国立長崎医療センター・臨床研究センター), 小森 敦正(国立長崎医療センター・臨床研究センター), 八橋 弘(国立長崎医療センター・臨床研究センター)
抄録 【目的】当院におけるB型慢性肝疾患長期観察例の肝発癌に関わる因子の臨床的検討をおこなう.【対象・方法】対象は1980年~2000年の間に当センターに入院した初診時肝細胞癌合併のないHBsAg陽性例1029例のうち5年以上経過観察した392例(平均観察期間:15年)である.初診時年齢(中央値):39歳,男性:278例(71%),初診時HBeAg陽性例:287例(73%),初診時ALT値(中央値):53 IU/L,初診時HBV-DNA量(中央値):6.3 logcopy/ml,初診時HBsAg量(中央値):3.6 logIU/ml, 初診時肝硬変合併例:111例(28%),インターフェロン治療例:83例(21%). 経過中HBsAg消失を確認したのは46例(HBsAg消失率0.78%/年)であった.1) 392例での肝発癌に関連する因子に関してCOX比例ハザードモデルを用いて多変量解析をおこなった. 2) HBsAg消失例における発癌例に関して検討をおこなった.【結果】経過中に発癌を認めた症例は87例(1.48%/年)であった.1) 肝発癌に関連する独立因子は初診時年齢30歳以上(relative risk:3.3, p<0.05),HBsAg消失(relative risk:0.23, p<0.01),肝硬変合併(relative risk:13.9, p<0.001) であった. 2) HBsAg消失例において経過中,肝発癌を認めたのは5例であった.発癌例,未発癌例の間に臨床背景において有意な因子は認めなかった.発癌例は全例男性で,HBsAg消失年齢は50歳以上(52~60歳)であった.全例根治的治療が施行され予後は良好であった.【結論】1. B型慢性肝疾患長期観察例の肝発癌に関わる因子は初診時年齢30歳以上,肝硬変合併であった.2. 当院のHBsAg消失例における肝発癌例は全例男性で,HBsAg消失年齢は50歳以上であった.
索引用語 HBsAg消失, 肝発癌