セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

B型肝炎-病態・診断2

タイトル 肝P-7:

B型肝炎肝発癌予測におけるAFP測定の有用性

演者 芥田 憲夫(虎の門病院・肝臓内科)
共同演者 鈴木 文孝(虎の門病院・肝臓内科), 小林 万利子(虎の門病院・肝臓研究室), 原 祐(虎の門病院・肝臓内科), 福島 泰斗(虎の門病院・肝臓内科), 川村 祐介(虎の門病院・肝臓内科), 瀬崎 ひとみ(虎の門病院・肝臓内科), 鈴木 義之(虎の門病院・肝臓内科), 保坂 哲也(虎の門病院・肝臓内科), 小林 正宏(虎の門病院・肝臓内科), 斎藤 聡(虎の門病院・肝臓内科), 荒瀬 康司(虎の門病院・肝臓内科), 池田 健次(虎の門病院・肝臓内科), 熊田 博光(虎の門病院・肝臓内科)
抄録 【目的】B型肝炎の肝発癌予測におけるAFP値測定の有用性とAFP値上昇に寄与する要因を検討した.更に,肝病態を反映する可能性のあるHBsAg量とAFP値との関連についても検討した.【方法】初診時に肝癌が存在せず,抗ウイルス療法既往歴が無い連続1,998例のB型肝炎を対象とした(年齢中央値38歳,HBeAg陽性971例,男性1,345例).〔検討1〕当院の経過中に抗ウイルス療法を施行されていない1,271例の初診時AFP値から累積肝発癌率を検討.〔検討2〕初診時HBsAg量(CLIA法)から見た初診時AFP上昇例の頻度を検討.〔検討3〕初診時AFP上昇に寄与する要因を多変量解析で検討.【成績】〔検討1〕初診時AFP値から見た累積肝発癌率(10/20/30年)は,AFP 10μg/l以下の群で5/8/12%,AFP 11~20μg/lの群で24/37/42%,AFP 21μg/l以上の群で22/27/27%.AFP 10μg/l以下(AFP低値群)は11μg/l以上(AFP高値群)の群と比較して有意に肝発癌率が低率であった.〔検討2〕初診時HBsAg量から見たAFP高値群の頻度は,499IU/ml以下で15%,500~1,999で31%,2,000~6,999で30%,7,000~24,999で17%,25,000以上で12%.500IU/ml以上ではHBsAg量が増加するとAFP高値群の頻度が減少する傾向にあった.〔検討3〕初診時HBsAg 500IU/ml以上の1,589例で初診時AFP高値群に寄与する要因は,HBsAg(7,000IU/ml未満)・albumin(3.9g/dl未満)・γGTP(50IU/l以上)・AST(34IU/l以上)・血小板(20万/mm3未満)・総ビリルビン(1.0mg/dl以上)・HBV DNA(5.0 log copies/ml以上)・HBeAg(陽性)の8因子であった.初診時HBsAg 500IU/ml未満の409例で初診時AFP高値群に寄与する要因は,albumin(3.9g/dl未満)・γGTP(50IU/l以上)・HBcrAg(3.0 log U/ml以上)の3因子であった.【結論】AFP値はB型肝炎の肝発癌予測に有用であった.AFP上昇の原因として肝線維化と肝炎活動性以外にウイルス要因も関与することが示唆された.
索引用語 AFP, HBsAg