セッション情報 |
ポスターセッション(肝臓学会)
B型肝炎-病態・診断2
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タイトル |
肝P-8:核酸アナログ治療中のB型慢性肝疾患症例におけるHBs抗原価の推移と肝病態との関連
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演者 |
長谷部 千登美(旭川赤十字病院・消化器内科) |
共同演者 |
林 秀美(旭川赤十字病院・消化器内科), 細木 卓明(旭川赤十字病院・消化器内科), 藤井 常志(旭川赤十字病院・消化器内科) |
抄録 |
【目的】B型慢性肝疾患の診療において,HBs抗原価は抗ウイルス治療中止の可否判定に有用であり,その定量の必要性が強調されるようになった.また,HBs抗原高値例では発癌リスクが高いことも報告され,抗ウイルス治療によりHBs抗原の低下・さらには陰性化をめざす治療が求められるようになった.そこで,HBs抗原価の低下に伴う肝炎病態と発癌率の変化を明らかにする目的で,以下の検討を行った.【方法】対象は,核酸アナログ治療を1年以上継続しているB型慢性肝疾患113例(男性76例,女性37例)である.HBs抗原価(CLIA法)が250未満の低値群と250以上の高値群における臨床的病態ならびにHCC合併率を比較検討した.また,6~18か月の間隔でHBs抗原価の変化を確認しえた症例で,力価に20%以上の低下がみられた群と低下がみられなかった群との差異を検討した.【成績】HBs抗原低値群は40例,高値群は73例であり,男女比・年齢・肝疾患の進行度・ジェノタイプ・IFN治療歴の有無に関しては両群間に有意差はみられず,低値群で治療期間が長い傾向を認めた.検討項目うち有意差がみられたのは,治療前のDNA量(中央値が低値群で5.3,高値群で6.8,p=0.000)および直近のDNAレベル(陰性例が低値群で70%,高値群で37%,p=0.002)のみであった.HCC合併症例の割合は,低値群で22.5%(9/40),高値群で17.8%(13/73)であり,差はみられなかった.HBs抗原低下群と非低下群の比較では,症例の背景やHCC合併率には差はみられず,低下群では初回のHBs定量が低値であった症例の割合が有意に高いことより,HBs抗原価が低い例ほどその低下傾向が強いと考えられた.【結論】HBs抗原低値群は治療前からHBV DNA値が低く治療期間が長い傾向であったことより,長期間の抗ウイルス効果の結果としてもたらされる要因が強いと考えられた.HBs抗原価の高低によるHCC合併率の差は今回の検討では認められず,さらに長期間にわたる経過観察が必要と考えられた. |
索引用語 |
B型慢性肝疾患, HBs抗原量 |