セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

B型肝炎-病態・診断2

タイトル 肝P-9:

B型肝硬変における核酸アナログ療法後発癌の検討

演者 相澤 摩周(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科)
共同演者 水野 雄介(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 杉田 知典(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 石田 仁也(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 横須賀 順(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 中野 正範(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 佐伯 千里(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 北原 拓也(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 鳥巣 勇一(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 佐藤 憲一(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 天野 克之(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 穗苅 厚史(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 石川 智久(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 銭谷 幹男(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 高木 一郎(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 田尻 久雄(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科)
抄録 【目的】B型肝炎に対する核酸アナログ(NA)療法は良好な抗ウイルス効果と発癌抑止が期待できるが,肝硬変ではNA療法後の発癌例も認める.肝硬変例でのNA投与後の発癌について検討した.【対象】2000年から12年3月までにNA療法を開始したB型肝硬変41例.平均年齢52歳(32-71歳) 男性/女性29例/12例,Genotype A 2例,B 3例,C 22例,平均観察期間62ヵ月(12-146ヵ月), HBV-DNA 6.2±1.6 logcopies/ml, HBeAg陽性8例 (20%),初回LAM単剤後にETV変更3例,LAM+ADV併用13例 初回ETV 25例であった.肝硬変の診断は病理組織でF4もしくは画像検査にて判断した.【結果】NA療法後16例(39%) に肝癌が出現した(男性/女性15例/1例,HBeAg陽性3例,肝細胞癌15例,胆管細胞癌1例).NA投与後の発癌時期は中央値で21ヵ月(4-113ヵ月),投与開始1年以内が5例,1-3年が5例,3年以上が6例であった.肝癌に対する治療は手術8例,局所療法(RFA)3例,TACE3例であった.NA投与後の発癌群(HCC群)と非発癌群(nonHCC群)で比較するとNA投与時の背景因子では単変量解析でHBeAg陽性/陰性,HBV-DNA量,AST,ALT値,Alb値,血小板等に有意差を認めなかったが,HCC群に男性が有意に多く(p=0.04 ),使用薬剤は初回LAM単剤が有意に多かった(p=0.007).観察期間終了時では両群のHBV-DNA陰性化率(HCC群 vs. nonHCC群:76%vs.88%)やALT正常化率(74% vs.76%),HBsAg量(CLEIA法)(中央値613logU/ml vs. 670logU/ml),HBcrAg陰性率(<3.0logU/ml)(16%vs.16%)に差はなかった.【結果】肝硬変例へのNA療法の抗ウイルス効果は良好であるが,発癌抑止は十分とは言えず,初回ETV療法に比べLAM単剤療法後のADV併用例での発癌抑止効果が低い可能性があり今後も注意が必要である.
索引用語 B型肝硬変, 肝癌