セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

B型肝炎-治療2

タイトル 肝P-17:

当院における若年者B型慢性肝炎に対する治療の現況

演者 鳥居 信之(東京女子医大・消化器内科)
共同演者 児玉 和久(東京女子医大・消化器内科), 橋本 悦子(東京女子医大・消化器内科), 戸張 真紀(東京女子医大・消化器内科), 八辻 賢(東京女子医大・消化器内科), 吉岡 容子(東京女子医大・消化器内科), 松下 典子(東京女子医大・消化器内科), 小木曽 智美(東京女子医大・消化器内科), 谷合 麻紀子(東京女子医大・消化器内科), 徳重 克年(東京女子医大・消化器内科), 白鳥 敬子(東京女子医大・消化器内科)
抄録 【目的】若年者B型慢性肝炎の治療はdrug freeを目指すことが指針であるが,すでに核酸アナログ(NA) が長期投与されている症例もある.近年Peg-IFNαの48W投与が承認され,第一選択薬としての効果が期待される.そこで若年者のNA投与例とPeg-IFNα単独投与例に関して検討した.【対象と方法】NA投与32例(男26, 女6,年齢中央値31歳,中止9例,継続23例)とPeg-IFNα単独投与6例(男3,女3,年齢中央値34歳)を対象としretrospective に臨床的検討を行った. 【結果】NA例の開始時HBeAgは陽性28例(中止8,継続20),陰性4例でHBV DNAは中央値で8.2 logcopy/mlと高値であった.中止群9例は中止後観察期間中央値5年で再投与例はなかったが,そのうち4例は最終観察時HBV DNAが4.0 logcopy/ml以上であった.中止群のうちIFNを併用した症例は3例で,genotype Aの2例はHBsAgもセロコンバージョンした.継続群23例の投与期間中央値は7年で,最終観察時の治療はLAM+ADV 10例,ETV+ADV 1例,LAM 2例,ETV 10例,7例(LAM+ADV 2, ETV 5)でHBeAgとHBV DNAが陰性化した.Peg-IFNα例の開始時HBeAgは陽性5例,genotypeは A 2例,C 4例でHBV DNAは中央値で8.0 logcopy/mlであった.投与中にHBeAgの陰性化を2例,HBsAgのセロコンバージョンをgenotype A の1例に認めた.【結語】若年者ではHBeAg陽性で高ウイルス量の時期に治療が開始されることが多く,NA投与期間の長期化例も少なくない.NA中止に伴う再燃のリスクを低下させるための条件(HBV DNA 陰性,HBeAg陰性,NA投与期間二年以上)を満たす症例もあり今後いかにdrug freeに導入していくかが課題である.Peg-IFNαはHBeAgの短期での陰性化例もありその有効性が期待され,特にGenotype A では最も良い第一選択薬と考えられた.またNA中止の際のPeg-IFNαによるsequential療法等,IFN療法との併用効果も今後検討すべきである.
索引用語 B型慢性肝炎, 若年者