セッション情報 | ポスターセッション(肝臓学会)B型肝炎-治療2 |
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タイトル | 肝P-18:当院における核酸アナログ製剤の治療効果の解析 |
演者 | 村上 英介(広島大病院・消化器・代謝内科) |
共同演者 | 柘植 雅貴(広島大病院・消化器・代謝内科), 小林 知樹(広島大病院・消化器・代謝内科), 福原 崇之(広島大病院・消化器・代謝内科), 柾木 慶一(広島大病院・消化器・代謝内科), 大野 敦司(広島大病院・消化器・代謝内科), 苗代 典昭(広島大病院・消化器・代謝内科), 中原 隆志(広島大病院・消化器・代謝内科), 本田 洋士(広島大病院・消化器・代謝内科), 宮木 大輔(広島大病院・消化器・代謝内科), 河岡 友和(広島大病院・消化器・代謝内科), 三木 大樹(広島大病院・消化器・代謝内科), 平賀 伸彦(広島大病院・消化器・代謝内科), 平松 憲(広島大病院・消化器・代謝内科), 今村 道雄(広島大病院・消化器・代謝内科), 川上 由育(広島大病院・消化器・代謝内科), 相方 浩(広島大病院・消化器・代謝内科), 高橋 祥一(広島大病院・消化器・代謝内科), 茶山 一彰(広島大病院・消化器・代謝内科) |
抄録 | 【目的】2000年にB型慢性肝疾患に対する核酸アナログ治療が保険適応となり,10年以上にわたり核酸アナログが投与されている症例も散見されるようになった.本研究では,当院にて核酸アナログ治療を導入したB型慢性肝疾患症例について,治療中のHBV関連マーカー,薬剤耐性出現率ならびに発癌率について検討した.【対象】対象は,当院にてB型慢性肝疾患に対し,核酸アナログ治療を導入した511症例のうち,60日以上核酸アナログ治療を施行し,解析が可能であった401例.ラミブジン(LMV)導入163例,エンテカビル(ETV)導入238例,年齢中央値56歳,男女比292:109,観察期間の中央値 36.1ヶ月.導入時HBe抗原陽性134例(33.4%),導入時肝癌合併159例(39.7%).【成績】解析対象401例における累積生存率は,1年87.2%,5年68.8%,10年62.3%であった.HBs抗原陰性化は7例(1.7%)で認められ,累積陰性化率は5年0.4%,10年6.3%であった.LMV導入例とETV導入例を比較すると,ALT累積正常化率は,1年56.4% vs. 70.8%,5年74.9% vs. 87.6%,HBV DNA累積陰性化率は,1年61.2% vs. 84.7%,5年89.4% vs. 97.3%と,いずれもETV導入群で有意に良好であった(p<0.01).薬剤耐性の累積出現率は,LMVは1年16.8%,5年70.7%,ETVは1年0.6%,5年3.8%であり,ETV導入群では有意に耐性出現率が低く(p<0.01),薬剤耐性を認めたETV投与群の多くは,LMVからの切り替え例であった.導入後に肝発癌した症例は20例(5.0%),累積発癌率は1年1.4%,5年13.2%,10年17.2%であり,LMVとETVの間に有意差は認めなかった.【結論】ETVは,LMVに比して強い抗ウイルス効果を示し,HBV DNAおよびALTのより早期の正常化が期待できる.一方,LMV投与例でも長期間HBV DNA陰性化が持続できれば,ETVと同等の肝発癌抑止効果が期待できる可能性が示唆された. |
索引用語 | HBV, 核酸アナログ |