セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

B型肝炎-治療2

タイトル 肝P-19:

ETV投与前の血清AlbとPT%値はB型慢性肝炎/肝硬変の肝機能改善に関わっている

演者 斉藤 雅也(神戸大大学院・消化器内科学)
共同演者 矢野 嘉彦(神戸大大学院・感染病理学), 平野 仁崇(神戸大大学院・消化器内科学), 百瀬 健次(神戸大大学院・消化器内科学), 吉田 優(神戸大大学院・消化器内科学), 東 健(神戸大大学院・消化器内科学)
抄録 【目的】エンテカビル(ETV)のような核酸アナログ薬は,B型慢性肝炎/肝硬変患者の肝機能を改善することが知られている.しかし,ETV治療前に肝機能が改善する患者をあらかじめ予測することはできない.私たちはETV治療後に肝機能が改善する患者の治療前予測モデルを作成することを目的とした.【対象と方法】本研究は,当院で1年以上ETV投与を行ったB型慢性肝炎/肝硬変患者88人によるケースコントロールスタディである.ETV投与前から投与後1年にかけて,血液生化学検査およびウイルス学的検査を行った.また同時期に,Childスコアによる肝機能の評価も行った.ETV投与前から投与後1年にかけてのChildスコア改善に関わる治療前因子を多変量解析にて同定した.そして同定した多変量因子を用いて,Childスコア改善に関わる治療前予測モデルを作成した.【結果】多変量解析にて,ETV投与前の血清AlbとPT%値が,ETV投与後1年のChildスコア改善に関わる独立因子であることが明らかになった(p=0.001, 0.030).ETV投与前の血清AlbとPT%値が低値であればあるほど,ETV投与後1年のChildスコアがより大きく改善した(p=0.001 and 0.006).Childスコア改善の治療前予測モデルを以下に示す:P=1-(1/(1+EXP(-2.215×Alb-0.058×PT+12.543))).この予測式のAUCは0.819 (95%信頼区間:0.707-0.932)であり,予測能は良好であった.また,至適カットオフ値は0.185,感度と特異度はそれぞれ83.3%,73.9%であった.【結論】ETV投与前の血清AlbとPT%値は,ETV投与後の肝機能改善に関与していた.私たちが作成した予測モデルを用いると,ETV投与後に肝機能が改善する確率をより良く予測することが可能になるものと考えられた.
索引用語 エンテカビル, 肝機能