共同演者 |
岩瀬 弘明(国立名古屋医療センター・消化器科), 都築 智之(国立名古屋医療センター・消化器科), 桶屋 将之(国立名古屋医療センター・消化器科), 龍華 庸光(国立名古屋医療センター・消化器科), 喜田 裕一(国立名古屋医療センター・消化器科), 久野 剛史(国立名古屋医療センター・消化器科), 田中 優作(国立名古屋医療センター・消化器科), 江崎 正哉(国立名古屋医療センター・消化器科), 加藤 文一朗(国立名古屋医療センター・消化器科), 浦田 登(国立名古屋医療センター・消化器科), 平嶋 昇(国立名古屋医療センター・消化器科) |
抄録 |
【目的】最近, 肝発癌を抑制するために, HBs抗原陰性化を目指した治療法が必要であると報告されてきている. 今回, エンテカビル治療がおこなわれたB型慢性肝疾患について, 特に長期経過としてHBs抗原量と肝発癌に注目し検討した. 【方法】対象は当院でエンテカビル治療を導入したB型慢性肝疾患患者で, 治療開始から2年以上経過観察している37例である. HBV-DNA量(real time PCR法), HBs抗原量(CLIA法), AFP値, 肝発癌などについて検討した. 【成績】男性26例, 女性11例, 治療開始時平均年齢は52.4±9.4歳で, 治療前HBe抗原陽性12例(32.4%)であった. 治療はエンテカビルで投与開始30例, ラミブジンからエンテカビルへ切り替え7例であった. 平均観察期間は40.3±12.5ヵ月であった. HBV-DNA量は6ヵ月以内に73.5%, 最終観察時に94.4%が検出感度以下となった. 治療経過中2例(5.4%)にセロコンバージョンを認めた. HBs抗原<100IU/mLは2例に認め, 内1例は陰性化した. AFPの平均値は治療前:32.1±92.8ng/mL, 最終観察時:3.1±1.6ng/mLと治療により有意に低下した. 1例に肝発癌を認めた(治療開始22ヵ月後). 【結論】今回の検討でエンテカビル治療により, HBV-DNA量は高率に検出感度以下となり, またAFP値も有意に低下したが, HBs抗原陰性化は1例と低率であった. 1例ではあるが, 肝発癌もみられたことから, 今後はHBs抗原陰性化を目指した治療法の工夫が必要となってくると考えられた. |