セッション情報 |
ポスターセッション(肝臓学会)
B型肝炎-治療2
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タイトル |
肝P-21:B型慢性肝炎に対する核酸アナログ治療のHBs抗原,HBcr抗原からみた治療予後予測の検討
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演者 |
吉田 真理子(国立金沢医療センター・消化器科) |
共同演者 |
太田 肇(国立金沢医療センター・消化器科), 羽柴 智美(国立金沢医療センター・消化器科), 矢野 正明(国立金沢医療センター・消化器科), 丹尾 幸樹(国立金沢医療センター・消化器科), 丸川 洋平(国立金沢医療センター・消化器科) |
抄録 |
【目的】B型慢性肝疾患に対する核酸アナログ治療中止可能かの判断する際に,HBs抗原量,HBcr抗原量が指標となりうることが報告されている.今回,当科のB型慢性肝疾患症例で核酸アナログ治療後のHBs抗原量,HBcr抗原量にもとづいてリスク分類し,それらの治療開始前の因子について検討した.【方法】当院で核酸アナログ治療を導入したB型慢性肝疾患患者105例で,2年以上投与を継続しHBs抗原量,HBcr抗原量を測定しえた41例(男:女=27:14)を対象とした.各症例をHBs抗原量,HBcr抗原量によりスコア化し3群に分類した.厚生労働省の「核酸アナログ薬治療における治療中止に伴うリスク回避のための指針2012」に基づき,HBs抗原量については80IU/mL未満を0点,80-800IU/mLを1点,800IU/mL以上を2点とし,HBcr抗原量については3.0logU/mL未満を0点,3.0-3.9logU/mLを1点,4.0logU/mL以上を2点とした.HBs抗原量,HBcr抗原量の合計スコアが0点を低リスク群(A群),1,2点を中リスク群(B群),3,4点を高リスク群(C群)とし,各群での患者背景,ウイルス因子について検討した.【結果】対象症例の治療開始時年齢は52.3±13.0歳,観察期間は58.7±20.6月(28-99か月)であった.A群,B群,C群はそれぞれ1例,16例,24例であった.A+B群とC群に分けて検討したところ,A+B群の治療前のHBV-DNA量はC群に比して有意に少なかった(P=0.029).また,A+B群は有意にHBeAgの陽性率が低く(P=0.0038),HBeAbの陽性率が高かった(P=0.0011).治療開始時の年齢,患者の性別, HBV genotype,治療前ALT,背景肝では両群間に有意な差を認めなかった.【結論】当院のB型慢性肝疾患症例では核酸アナログ中止可能である可能性がある症例は1例であった.核酸アナログ治療開始時にHBV-DNA量が少なく,HBeAg陰性,HBeAb陽性の症例は,HBs抗原量,HBcr抗原量が少なく,核酸アナログ治療の中止の候補となりやすい傾向が示唆された. |
索引用語 |
B型慢性肝炎, 核酸アナログ |