セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

B型肝炎-治療3

タイトル 肝P-23:

当院におけるLAM10年とETV5年の長期成績と,各製剤の問題点の検討

演者 亀崎 秀宏(千葉大附属病院・消化器内科)
共同演者 神田 達郎(千葉大附属病院・消化器内科), 宮村 達雄(千葉大附属病院・消化器内科), 呉 霜(千葉大附属病院・消化器内科), 中本 晋吾(千葉大附属病院・消化器内科), 新井 誠人(千葉大附属病院・消化器内科), 今関 文夫(千葉大附属病院・消化器内科), 横須賀 收(千葉大附属病院・消化器内科)
抄録 【目的】B型肝炎に対する核酸アナログ製剤 (NAs) は強力なウイルス増殖抑制作用をもつが,その長期使用に伴い耐性ウイルス出現など様々な問題を引き起こすことが知られている.NAsの使用に関する治療効果および問題点について,viral breakthrough (VBT) やHBsAg消失の点から検討する.【方法】2000年4月から2011年9月までにNAsが初回投与された203例 [ラミブジン (L) 群68例,エンテカビル (E) 群135例] のB型慢性肝炎患者を対象とした.1 log copy/mL以上のHBV DNA再上昇をVBTと定義し,その一部においては耐性ウイルスの検出も検討した.【結果】1) 患者背景では,年齢 (L群: E群,45.5±12.1: 51.7±11.8歳,P<0.001),ALT値 (353±394: 161±195 IU/L,P<0.001),HBeAg陽性 (66.2: 47.4%,P=0.011),HBV DNA>5.0 log copies/mL (94.8: 80.0%,P=0.009) で両群間に差がみられた.2) 累積VBT率はL群で5年59.6%,10年67.9%,E群で5年9.2%とE群で良好であった (P<0.001).3) VBTにおける耐性ウイルスはL群94.1%,E群50.0%であった (P=0.048).4) 服薬アドヒアランス不良 (<90%) はL群6例8.8%,E群7例5.2%と同等であった (NS).5) HBsAg消失に関してはVBTなし症例ではL群3例10.7%およびE群3例2.5%でみられた (NS).【結語】NAsの服薬アドヒアランスは良好であったが,L群では耐性ウイルス出現に伴うVBTが高率なことからVBTなしでもEへの切り替えが重要である.またVBTなしE群ではHBsAg消失が低率であることが再認識され,HBsAg消失を目指したペグインターフェロン使用の考慮が選択されても良いものと考えられた.
索引用語 エンテカビル, アドヒアランス