セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

B型肝炎-治療3

タイトル 肝P-26:

Drug freeを目指したB型慢性肝炎sequential療法のHBs抗原推移に関する検討

演者 澤田 康司(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科)
共同演者 長谷部 千登美(旭川赤十字病院・消化器内科), 前田 重明(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科), 阿部 真美(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科), 鈴木 康秋(名寄市立総合病院・消化器内科), 大竹 孝明(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科), 高後 裕(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科)
抄録 【背景】B型慢性肝炎(HepB)治療ガイドラインの基本指針としてdrug freeやHBs抗原(HBsAg)の陰性化を目指すとされているが,HepBにおいては核酸アナログ製剤(NAs)の中止によって,肝炎が再燃する事は稀ではない.Matsumotoらは,HBV-DNA<3.0 log copies/ml,HBe抗原(HBeAg)陰性症例においてHBコア関連抗原,HBsAgを用いてNAs中止後の肝炎再燃率を層別化できる事を報告し,Group2以上の症例では高率に肝炎の再燃が見られることを明らかとしたが,sequential療法による肝炎再燃率やHBsAgの陰性化率については明らかではない.そこでPEG-IFNα2a を用いたsequential療法によるHBsAgの変化について検討した.【方法】NAsを1年以上内服しているHepB症例でHBV-DNA<3.0 log copies/mlかつHBeAg陰性症例(65歳以上・肝硬変・HCC既往症例は除外)のうち,2011年5月~2013年2月にNAs4週間併用のPEG-IFNα2aによるsequential療法を行った5例(Seq群)に対してHBsAgの推移を,同時期にNAsを導入した4例(NAs群)と比較検討をした.【結果】年齢Seq群39~61歳 (中央値48歳) vs NAs群41~64歳 (44歳)(p=0.8),HBsAg 16.8~2149 IU/ml (176.1 IU/ml) vs 586~47010 IU/ml (4790 IU/ml)(p=0.027),ALT 19~34 IU/l (22 IU/l) vs 35~67 (48 IU/l)(p=0.014),drug free score Group1 2例,Group2以上3例 vs Group2以上 4例(p=0.44).HBsAgの治療前後での推移(log)はSeq群 -0.13~3.94 (0.18) vs -0.2~0.12 (0.059)(p=0.32)であったが,Seq群ではPEG-IFNα2a投与中にALTの上昇を認めた2例でHBsAgの著明な低下が見られ,1例は投与16週目で1 log以上の低下を認め(Group3症例),1例は投与28週目にHBsAgの陰性化を認めた(Group2症例).【結論】PEG-IFNα2aを用いたsequential療法はdrug free score ≧Group2の症例に対してもHBsAgの著明な低下を期待できる有用な治療法と考えられた.
索引用語 B型肝炎, sequential療法