セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

B型肝炎・その他のウイルス性肝炎

タイトル 肝P-27:

国内感染と考えられるB型急性肝炎genotype Hの一例

演者 山田 典栄(清川病院・肝臓病研究センターDELIMITER聖マリアンナ医大・消化器・肝臓内科DELIMITER国立感染症研究所・ウイルス第2部)
共同演者 四柳 宏(東京大・感染症内科), 池田 裕喜(聖マリアンナ医大・消化器・肝臓内科), 小林 稔(清川病院・肝臓病研究センター), 奥瀬 千晃(聖マリアンナ医大・消化器・肝臓内科), 森屋 恭爾(東京大附属病院・感染制御部), 安田 清美(清川病院・肝臓病研究センター), 鈴木 通博(聖マリアンナ医大・消化器・肝臓内科), 伊東 文生(聖マリアンナ医大・消化器・肝臓内科), 加藤 孝宣(国立感染症研究所・ウイルス第2部), 脇田 隆字(国立感染症研究所・ウイルス第2部), 小池 和彦(東京大・消化器内科)
抄録 【緒言】近年のB型急性肝炎(AH-B)はgenotype Aが多くを占め,若年者を中心とした性行為感染症として増加傾向にある.今回,報告例が極めて少ない国内感染と考えられるgenotype HのAH-B症例を経験したので報告する.
【症例】40代,男性.2009年に急性腸炎で入院歴あり,その際HBs抗原陰性であった.1年以内の海外渡航歴なし.2011年に倦怠感を主訴に受診.HBs抗原陽性,IgM HBc抗体陽性,ALTの上昇を認めAH-Bと診断された.初診時ALT 2963IU/l, T-Bil 11.1mg/dl,HBV DNA 7.7log copy/ml,HIV抗体陰性であり,その後自然の経過で改善傾向となった.初診時より1か月後にALTは正常値となり,4か月後にHBs抗原が陰性化したがHBV DNAは2logから3log copy/mlで経過し18か月後に初めて検出感度以下となった.
【結果】この症例は外来受診時検査のgenotype AからDを検出するEIA法でgenotype Cと診断された.しかし血清中のHBV DNAをdirect sequence法で解析したところ,系統解析でgenotype Hに分類された.BCP領域nt.1762/1764,PreC領域nt.1896は野生型であり,RT領域に核酸アナログ耐性として知られる変異はなかった.S領域のa determinant regionにF134Lの変異を認めた.
【考案】本症例は1年以内の渡航歴がないことから国内感染と考えられるが,詳細な感染経路は明らかでない.国内感染のgenotype HのAH-Bは希少な症例であるが,今後genotype Hの症例が国内でも増加してくる可能性がある.本症例はウイルス陰性化までに18か月を要した遷延例であり,genotype Aに限らず遷延化する症例があることを示唆している.しかし本症例は通常のgenotype判定法ではgenotype Cと診断されており,遷延する症例では他の方法によるgenotypeの解析も考慮する必要がある.
索引用語 B型急性肝炎, genotype