セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

B型肝炎・その他のウイルス性肝炎

タイトル 肝P-29:

岡山県内狩猟者の「E型肝炎」の認識調査

演者 川上 万里(岡山済生会総合病院・肝臓病センター)
共同演者 高橋 雅春(自治医大・ウイルス学), 岡本 宏明(自治医大・ウイルス学), 足立 卓哉(岡山済生会総合病院・肝臓病センター), 藤岡 真一(岡山済生会総合病院・肝臓病センター), 大澤 俊哉(岡山済生会総合病院・肝臓病センター), 糸島 達也(岡山済生会総合病院・肝臓病センター)
抄録 【目的, 背景,方法】国内感染E型肝炎の主たる感染経路は野生動物(イノシシ,シカ,ブタ)の肉や内臓の喫食を介することが知られている.2012年度に岡山県内で実施した調査では捕獲されたイノシシの17%からHEV抗体が,5%からHEV RNAが検出された.狩猟者は捕獲した動物の肉・内臓を介しての感染の可能性が推測されるため,本疾患の認識についてアンケート調査を行った.
【補】イノシシの調理法は[レバニラ炒め][タタキ][鍋]で,以前は[生レバー]も食されていた.狩猟後に調理し,仲間うちで食したり,家庭に持ち帰って家族で食する.近年[ジビエ料理]として一般食化をはかる兆しがある.
【結果】アンケート配布は160枚,回答者は62名で回収率は38.8%であった.回答者は全員男性,年齢は40-89歳であった.[イノシシ肉]摂食歴は全員が有し,54名(87.1%)が10回以上であった.[イノシシ肝]摂食歴は回答者60名中44名(73.3%)が有した.一方で[シカ]は19例(30.6%)であった.イノシシ肉を[美味で好む]と答えたのは36名(58.1%),[嫌い]は2名(3.2%)であった.[野生動物から感染する肝炎]について48名(80.0%)が知っており,[死亡例]は40名(67.8%)が耳にしていた.情報入手時期は2000-2009年が30名(75.0%)で最多で,入手先は[マスメディア]25名(62.5%),[猟友会会員]18名(45.0%)であった.情報入手後21名(52.5%)がイノシシ摂食に[抵抗がある]と答えた.情報入手後の摂食変化は[加熱]22名(40.0%),[食べない]2名(4.0%),[回数減少]2名(4.0%)で,25名(50.0%)は[変化なし]と答えた.手袋を常用していたのは26名(42.6%)で,[肝炎]情報を得ていた中の37.5%であった.
【考案と結語】岡山県狩猟者の8割は[野生動物から感染する肝炎]の情報を獲得していたが,摂食は半数に変化がなく,また手袋の着用も半数以下で更なる注意喚起が必要であると考えられた.情報発信源として[マスメディア]の果たす役割は大きいと考えられた.
【謝辞】岡山県猟友会の皆様のご協力に深謝いたします.
索引用語 E型肝炎, イノシシ