セッション情報 | ポスターセッション(肝臓学会)B型肝炎・その他のウイルス性肝炎 |
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タイトル | 肝P-30:当院におけるE型急性肝炎の血清診断について |
演者 | 手島 一陽(東芝病院・消化器内科) |
共同演者 | 高橋 和明(東芝病院・研究部), 新野 徹(東芝病院・消化器内科), 三輪 純(東芝病院・消化器内科), 松原 康朗(東芝病院・消化器内科), 田代 淳(東芝病院・消化器内科), 田上 大祐(東芝病院・消化器内科), 柿本 光(東芝病院・消化器内科), 高橋 正倫(東芝病院・消化器内科), 比嘉 しりか(東芝病院・消化器内科), 三代 俊治(東芝病院・研究部), 新井 雅裕(東芝病院・消化器内科) |
抄録 | 【背景】IgAクラス抗E型肝炎ウイルス抗体(IgA-HEV Ab)測定は,非特異反応による偽陽性が少なく感度も優れているため,E型急性肝炎の血清診断に有用である.当院では急性肝障害の原因精査時に,研究部にて各クラスHEV AbおよびHEV RNA測定を積極的に施行してきたが,IgA-HEV Ab測定の保険適応後は,より簡便にHEVスクリーニングが可能となっている.【目的】当院で,各クラスHEV AbおよびHEV RNA測定がなされた例をまとめ,E型急性肝炎の血清診断について検討する.【方法】当院で2009年から2012年までに,イムニスHEV Ab測定試薬(EIA)による各クラスHEV AbおよびPCR法によるHEV RNAが測定された,E型急性肝炎診断確定12例を含む47例について,診断時のこれら測定結果を検討した.【結果】HEV RNAが陽性であった12例のうち,1例はIgA-HEV Abのみ陽性,かつIgM-HEV AbとIgG-HEV Abが陰性であった.また,1例はIgA-HEV Abが陰性,かつIgM-HEV AbとIgG-HEV Abが陽性であった.本例は慢性関節リウマチに対し免疫抑制剤を内服中であったが,同疾患で免疫抑制剤内服中の他の1例は診断時全クラスHEV Abが陽性であった.残る10例は,診断時全クラスHEV Abが陽性であった.HEV RNAのgenotypeは全て3型であった.一方,RNAが陰性であった35例のうち,IgA-HEV Abが陽性であった1例はIgM-HEV Ab陰性,IgG-HEV Ab陽性であり感染既往と考えられた.また,1例はIgM-HEV Abのみ陽性であったが,非特異反応による偽陽性と考えられた.感染既往と考えられるIgG-HEV Abのみ陽性例は7例認めた.残る26例は,全クラスHEV Abが陰性であった.IgA-HEV Ab偽陽性は今回の検討では認められなかった.【結論】E型急性肝炎の抗体測定によるスクリーニングにおいては,既報のごとくIgA-HEV Abの有用性は高いと考えられたが,診断確定には,他クラスHEV Ab測定,HEV RNA検出を要する例が存在することを念頭に置く必要があると考えられた. |
索引用語 | E型急性肝炎, IgAクラス抗HEV抗体 |