セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

C型肝炎-基礎1

タイトル 肝P-32:

治療抵抗性HCVにおけるIRES領域の遺伝子変異と既知効果予測因子との関連

演者 緒方 啓(久留米大・消化器内科)
共同演者 井出 達也(久留米大・消化器内科), 有永 照子(久留米大・消化器内科), 宮島 一郎(久留米大・消化器内科), 桑原 礼一郎(久留米大・消化器内科), 天野 恵介(久留米大・消化器内科), 佐田 通夫(久留米大・消化器内科)
抄録 【目的】Internal Ribosome Entry Site (IRES)は,HCVの複製において重要な部位である.我々はIRESの変異とペグインターフェロン・リバビリン(PEG-RBV)併用療法の治療感受性との関連を報告し(Archives of Virology153;1575-9,;2008, AASLD 2010),さらにIRES領域の中でも119番目の塩基がAである例が治療抵抗性となりやすいことを報告した(JDDW 2012).今回,PEG-RBV併用療法を施行したC型慢性肝炎症例においてIRES遺伝子変異解析を行うとともに既知の効果予測因子との関連性を模索した.【方法】対象はgenotype 1b, HCV RNA 5.0 Log IU/ml以上でPEG-RBV併用療法を行った33例.内訳はPEG-RBV Null-Responder群 :16例,SVR群 :17例.治療前の血清からHCV RNAを抽出し,RT-PCR法およびPCR法にてIRESを増幅.Direct sequence法を用いてIRESの塩基配列を決定した.さらに各例の臨床背景因子,HCVコア変異,ISDR変異,IL-28Bなどの因子とIRES塩基変異との関連を解析した.【成績】クローニングされたIRESのalignment では,両群において119番目の塩基が最も変異の差を認める部位であった.また,コア70番アミノ酸が変異型でIRES 119番目塩基がAである例(70M/119A)およびコア70番アミノ酸が野生型でIRES 119番目塩基がTである例(70W/119T)に振り分けると,PEG-RBV Null-Responder群で70M/119A : 8例,70W/119T : 3例,SVR群で70M/119A : 4例,70W/119T : 9例と有意差を認めた(P<0.05).【結論】IRESの119番目塩基がAであるHCVは,治療抵抗性であると同時にコア70番目アミノ酸が変異型である傾向が強く,抵抗性メカニズムにIRESとコアが相関している可能性が示された.
索引用語 HCV, 治療抵抗性