セッション情報 | ポスターセッション(肝臓学会)C型肝炎-基礎1 |
---|---|
タイトル | 肝P-35:亜鉛付加によるプロテアーゼ阻害薬及びポリメラーゼ阻害薬のC型肝炎ウイルス増殖抑制効果の解析 |
演者 | 田村 彰教(日本大・消化器肝臓内科) |
共同演者 | 益岡 晋也(日本大・消化器肝臓内科), 伊藤 潔(日本大・消化器肝臓内科), 上村 慎也(日本大・消化器肝臓内科), 大平 俊一郎(日本大・消化器肝臓内科), 松岡 俊一(日本大・消化器肝臓内科), 森山 光彦(日本大・消化器肝臓内科) |
抄録 | 【目的】微量元素である亜鉛は,C型肝炎ウイルス(HCV)増殖に対してHCVの非構造蛋白であるNS3が亜鉛含有酵素であることや,亜鉛が抗酸化作用を有するメタロチオネインの発現を増強している(第99回消化器病学会総会)ことからも抑制効果を有していると考えられる.今回我々は,亜鉛付加によるプロテアーゼ阻害薬及びポリメラーゼ阻害薬のHCV増殖抑制効果の解析をおこなった.【方法】ヒト肝癌細胞株Huh-7細胞でルシフェラーゼ遺伝子およびネオマイシン耐性遺伝子を結合した全長HCV-RNAが複製するOR6細胞を用いた.12時間培養し,亜鉛,プロテアーゼ阻害薬及びポリメラーゼ阻害薬を,濃度を振り分け加え72時間まで培養した.培養開始後0時間,72時間後,細胞数及びルシフェラーゼ活性を測定した.細胞を回収し,TriStar LB941(Berthold Technologies社)を用いてルシフェラーゼ活性の測定を行った.尚,実験前に各々の薬剤の細胞生涯濃度及びウイルス阻害濃度を決定した.【結果】亜鉛,プロテアーゼ阻害薬は,各々濃度依存的にHCV抑制効果が増強された.ポリメラーゼ阻害薬では全ての濃度で強くHCVが抑制された.亜鉛とプロテアーゼ阻害薬の併用はHCV抑制効果が増強された.一方,亜鉛とポリメラーゼ阻害薬の併用ではHCV抑制効果が増強されなかった.【結論】以上の結果は,慢性C型肝炎プロテアーゼ阻害薬併用治療時に,亜鉛を追加することで治療成績が向上される可能性があることを示唆している.ポリメラーゼ阻害薬では単剤でのHCV抑制効果が強いため,この系で亜鉛の相乗効果を検討することが難しかった.今後,プロテアーゼ阻害薬及び亜鉛付加後の宿主遺伝子の動態の変化をAffymetrix Genechipで解析してゆく予定である. |
索引用語 | C型肝炎ウイルス, 亜鉛 |