セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

C型肝炎-基礎2

タイトル 肝P-36:

HCV-NS4BはIFN-β発現誘導だけでなくIFN-λ発現誘導も抑制する

演者 新田 沙由梨(東京医歯大・消化器内科)
共同演者 坂本 直哉(北海道大・消化器内科), 村川 美也子(東京医歯大・消化器内科), 柿沼 晴(東京医歯大・消化器内科DELIMITER東京医歯大大学院・分子肝炎制御学), 中川 美奈(東京医歯大・消化器内科DELIMITER東京医歯大大学院・分子肝炎制御学), 朝比奈 靖浩(東京医歯大・消化器内科DELIMITER東京医歯大大学院・分子肝炎制御学), 渡辺 守(東京医歯大・消化器内科)
抄録 【目的】C型肝炎ウイルス(HCV)感染の高率な慢性化には,ウイルス蛋白による自然免疫応答の阻害が関わっていると考えられている.我々はNS4B蛋白がNS3/4Aと同様にIFN発現誘導を抑制することを報告し (J Gen Virol 2007 ),さらにNS4Bが,IFN発現経路のシグナル分子として近年同定されたSTINGを標的としてRIG-I依存性IFN-β発現経路を抑制している事を明らかにした.一方,近年IL28B SNPがC型肝炎におけるウイルス排除や治療効果に強く関わる宿主因子であることが報告された.IFN-λ発現経路はIFN-β発現経路と一部シグナル経路を共有することから,NS4BがIFN-λ発現も抑制している可能性を考え検討を行った.【方法】HCV感染細胞におけるIFN活性の変化を解析するため,HCVレプリコン細胞にRIG-I経路関連分子とIFN-βおよびIL28Bの promoterを強制発現しpromoter assayを行った.NS4BによるIFN発現経路の抑制効果を検討するため,RIG-I経路関連分子をNS4Bと共発現させIFN-βおよびIL28B promoterを用いたpromoter assayを行った.また,NS4Bの欠失変異体を用い同様のpromoter assayを行った.以上の検討ではIL28B majorとIL28B minorそれぞれのpromoterを用いて解析することにより,宿主のIL28B SNP allele間での差に関しても検討を行った.【成績】レプリコン細胞においてIFN活性は抑制された.NS4Bの強制発現下でRIG-I, Cardif, STINGによるIL28B promoterの活性化は有意に抑制された(p=0.003, p=0.004, p=0.004).NS4Bの欠失変異体を用いた解析では,NS4B-N末端側(1-84アミノ酸)の共発現によってIFN-β promoter活性だけでなくIL28B promoter活性に対しても全長NS4Bと同等の抑制作用を示し(p=0.0003, p=0.004, p=0.008),この領域がIFN抑制作用に必須であることが示唆された.【考案および結語】HCV-NS4B蛋白はIFN-βだけでなくIFN-λ発現誘導も抑制する事が示唆された.
索引用語 NS4B, 自然免疫応答