セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

C型肝炎-基礎2

タイトル 肝P-37:

HCV感染症におけるIFNλの意義-Th1誘導因子としての役割

演者 由雄 祥代(大阪大大学院・消化器内科学)
共同演者 考藤 達哉(大阪大大学院・消化器内科学), 松原 徳周(大阪大大学院・消化器内科学), 竹原 徹郎(大阪大大学院・消化器内科学)
抄録 【目的】樹状細胞 (DC) は,TLR/RIG-Iなどの病原体認識システムを介してウイルス感染を感知し,IFN-α/β,IFN-λの主な産生細胞となる一方,Th1誘導能を持ちadaptive immunityの面においてもHCV排除に働く.我々は,BDCA3+DCがHCVに反応してIFNλを高産生することを報告してきた.今回,HCV感染症でのDC ( pDC, mDC1, BDCA3+DC)によるTh1誘導におけるIFNλの役割を検討した.【方法】非感染者(HV)よりSortingしたBDCA3+DC, plasmacytoid DC (pDC), myeloid DC(mDC)各々を無刺激,TLRリガンド,培養細胞由来HCV(HCVcc)刺激下にて24時間培養し,培養上清中のIFNα/β/λをELISAで測定した.また各単離DCをナイーブCD4T細胞と無刺激,Poly IC, HCVcc刺激下にて共培養 し,培養上清中のIFNγをELISAで測定した.各DCをPoly IC, HCVcc,IFNλ刺激有/無にて培養し,CD80,86を比較した.BDCA3+DCのIFN産生能,Th1誘導能を健常者とC型慢性肝炎患者で比較した.【成績】BDCA3+DCは無刺激にてもmDC1と同様のTh1誘導能を持っていた(IFNγ=901±635pg/ml).Poly IC, HCVcc刺激によってBDCA3+DCは成熟し,Th1誘導能が亢進(Poly IC刺激下:IFNγ=2116±691pg/ml, P=0.02/ HCVcc刺激下:IFNγ=1368±598,P=0.03)した.BDCA3+DC はIFNλ投与により,有意に成熟しTh1誘導能の亢進(P=0.01)を認めた.一方,BDCA3+DCのPoly IC, HCVcc刺激下のTh1誘導能はIFNλ受容体をブロックすると有意に低下を認めた.C型慢性肝炎患者においてはBDCA3+DCのIFNλ産生能(P=0.04),Th1誘導能(P=0.005)は有意に低下していた.このTh1誘導能の低下はBDCA3+DCへのIFNλ投与によって改善を認めた.【結論】BDCA3+DCからHCV反応性に産生されるIFNλは,DCにautocrineに作用し成熟させることで,Th1誘導能を亢進させる.C型慢性肝炎患者では,DC由来IFNλ産生が低下していることが,Th1誘導能の低下に関与していることが示唆された.
索引用語 BDCA3+DC, IFNλ