セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

C型肝炎-病態・診断

タイトル 肝P-41:

Telaprevir/PegIFN/RBV3剤併用療法中のC型肝炎患者におけるB細胞単一クローン増殖及びB細胞免疫異常の変化

演者 宮下 みゆき(昭和大・消化器内科)
共同演者 伊藤 敬義(昭和大・消化器内科), 打越 学(昭和大・消化器内科), 下間 祐(昭和大・消化器内科), 荒井 潤(昭和大・消化器内科), 森川 賢一(昭和大・消化器内科), 江口 潤一(昭和大・消化器内科), 吉田 仁(昭和大・消化器内科), 井廻 道夫(新百合ヶ丘総合病院・消化器・肝臓病研究所)
抄録 【目的】C型慢性肝炎(CH-C)患者では,リンパ増殖性疾患(LPD)などB細胞異常合併率が高い.我々は,CH-C患者B細胞へのHCV感染・吸着が,LPD関連マーカー異常やインターフェロン(IFN)治療抵抗性に関連する事を報告してきた.今回我々は,CH-C患者に頻度の高いB細胞単一クローン増殖(clonality:CL)の発症をキャピラリー電気泳動法で簡便に解析する方法を確立した.この手法でTelaprevir/PegIFN/RBV 3剤併用療法中CH-C患者のB細胞CLの変化を解析した.更にCLとB細胞HCV RNA,他のB細胞異常関連マーカーとの関連も検討した.【方法】1型高ウイルス量CH-C患者30例において,導入前,治療開始1週,16週,治療終了後12週でのPBMCを採取し,B細胞と非B細胞に分画した.各分画のRNAを用いて,IgH遺伝子CDR3領域RT-PCR産物のCL解析をIgM,IgG両クラスで行った.解析にはキャピラリー電気泳動を用い,定量的に解析した.またB細胞HCV RNAをrealtime RT-PCR法で定量し,クリオグロブリン(Cg),補体,リウマチ因子などのLPDマーカーとの関連を検討した.【成績】治療前の解析では,IgMは17.3% (5/29), IgGでは22.2% (6/27)の患者にCLを認めた.治療前CL陽性患者において,3剤併用療法開始1週でCL陽性を示すピーク波形の低下を認め,16週時点では完全に消失した.B細胞HCV RNAは約90%が治療前陽性だったが,治療開始1週でほぼ全例が陰性化していた.IgM CL陽性患者では陰性患者と比較し,血清IgM高値,C3c低値,C4低値,Cg陽性率高値だった.IgG CL陽性患者では,血清IgG高値だった.血清RNA陰性化後,患者の高IgG,高IgM,低補体血症はいずれも改善する傾向を示した.【考察・結語】強力な抗ウイルス効果を持つ3剤併用療法はB細胞HCV感染・吸着状態を治療早期に改善し,B細胞CL及びB細胞異常に起因する免疫異常も改善することを示唆した.
索引用語 C型肝炎, 免疫異常