セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

C型肝炎-病態・診断

タイトル 肝P-42:

HCV NS3/4Aプロテアーゼは補体C4を断片化し補体活性化を阻害する

演者 馬渡 誠一(鹿児島大・消化器疾患・生活習慣病学)
共同演者 宇都 浩文(鹿児島大・消化器疾患・生活習慣病学), 井戸 章雄(鹿児島大・消化器疾患・生活習慣病学), 上村 修司(鹿児島大・消化器疾患・生活習慣病学), 熊谷 公太郎(鹿児島大・消化器疾患・生活習慣病学), 小田 耕平(鹿児島大・消化器疾患・生活習慣病学), 椨 一晃(鹿児島大・消化器疾患・生活習慣病学), 玉井 努(鹿児島大・消化器疾患・生活習慣病学), 森内 昭博(鹿児島大・消化器疾患・生活習慣病学), 桶谷 眞(鹿児島大・消化器疾患・生活習慣病学), 島田 悠子(宮崎県産業支援財団), 鈴木 哲朗(浜松医大・感染症学(ウイルス学・寄生虫学)), 須藤 正幸(中外製薬(株)・富士御殿場研究所・創薬企画推進部), 坪内 博仁(鹿児島大・消化器疾患・生活習慣病学)
抄録 【目的】C型肝炎ウイルス(HCV)により産生されるウイルス蛋白は,HCV感染に対する宿主免疫応答に対し抑制的に作用し,持続感染に寄与していると考えられている.一方,我々は,ALTが正常を持続するHCV感染者血清中には補体C4の断片など,いくつかの蛋白が増加していることを血清プロテオミクスから見出した.本研究では,補体C4断片化とHCV由来蛋白との関連について検討することを目的とした.
【方法】1)補体C4にHCV NS3/4Aプロテアーゼ,Core,もしくはNS5をそれぞれ混合し,補体C4が切断されるかを検討した.また,得られた蛋白のN末端アミノ酸を解析した.2)補体の古典経路活性化は,感作羊赤血球(EA)に補体C1,C4,C2とC4欠損モルモット血清を順に添加した際の溶血度により評価した.EA添加前,C4には各種濃度のNS3/4Aプロテアーゼを作用させ,古典経路活性化に及ぼすNS3/4Aプロテアーゼの影響を検討した.
【成績】1)C4にNS3/4Aプロテアーゼを混合すると,約17kDaの2つの蛋白と約15kDaの1つの蛋白断片を検出した.CoreとNS5はC4には作用しなかった.また,約17kDa蛋白のN末端はそれぞれC4のSer-1584とAla-1591,約15kDa蛋白のN末端はC4γ鎖のN末端(Glu-1454)であった.すなわち,NS3/4Aプロテアーゼは,C4のCys-1583とSer-1584,Cys-1590とAla-1591の間を切断すると考えられた.さらに,NS3/4AプロテアーゼによるC4の断片化はセリンプロテアーゼ阻害剤により抑制された.2)NS3/4Aプロテアーゼは濃度依存的にC4に作用し,古典経路活性化を低下させ,この活性低下はセリンプロテアーゼ阻害剤により阻止された.
【結論】in vitroではHCV NS3/4Aプロテアーゼは補体C4を直接切断し,補体の古典経路活性化を抑制すると考えられた.
索引用語 NS3/4Aプロテアーゼ, C4