抄録 |
【目的】Telaprevir(TVR)の使用が承認され,難治性の1b型高ウイルス量のC型慢性肝炎に対する治療が飛躍的に向上したが,貧血,皮疹などの重篤な副作用も認め,特に貧血による中止例を減らす目的でTVRとRivabirin(RBV)の減量開始の基準を設け,減量開始例を中心に治療効果などについて検討を行った.【対象】治療効果は当院で導入した3剤併用療法56例中,終了した47例を対象とした.性別(F/M):20/27例,年齢:62歳,初回/前治療後再燃/無効:24/19/2例,IL28B(TT/TG):43/3例,Core aa70(W/M):32/11例,ALT:51IU/l,Hb:13.6g/dl,Plt:13.8×104/μl.減量開始例に関する検討は,減量開始例(A群)34例と国内第3相臨床試験9例中,減量開始の基準に該当した5例を通常量開始例(B群)とした.性別(F/M):A(20/14例),B(5/0例).年齢:A 65,B 57歳.初回/前治療後再燃/無効:A(17/13/2例),B(1/4/0例).IL28B(TT/TG):A(32/1例),B(3/1例).Core aa70(W/M):A(24/8例),B(3/1例).ALT:A 47,B 31IU/l.Hb:A 13.2,B 13.1g/dl.Plt:A 14.0,B 16.7×104/μl.【方法】以下の減量開始の基準に従い,TVR,RBVを減量,3剤併用療法を行った.1.TVR 60kg以下の場合,1500mgへ減量.60kgを超える場合,60歳を超える,女性,Hb:13g/dl未満のいずれかが該当すれば,1500mgへ減量.2.RBV 60歳を超える,女性,Hb:13g/dl未満によって減量,最低用量は200mgとした.【結果】1.中止率:19.1%(9/47例),休止率:44.7%(21/47例)2.SVR率:85.1%(23/27例)(非SVR4例は全例6週間以内に中止)3.HCV RNA陰性化時期(1/2/4/6/8週目):A(1/6/20/5/1例),B(1/2/1/0/0例)と有意な差はなし4.A群は4,6,8,10週目と有意に貧血の進行が抑制された.Hb:8.5g/dl未満となる高度の貧血は,A群:10例,B群:3例と起こりにくい傾向を認めた(p=0.06).【考察】少数での検討であるが,TVR,RBVを減量しても通常量開始例と同様に治療効果は良好であり,また,貧血による中止例を減らせる可能性が示唆された.【結語】減量開始は,抗ウイルス効果を保ちつつ,貧血の進行を抑制でき,早期中止例を減らす有効な方法と考えられる. |