セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

C型肝炎-治療6

タイトル 肝P-68:

3剤併用療法における定常状態のTVR血中濃度と副作用,治療効果,規定因子に関する検討

演者 坂根 貞嗣(国立大阪医療センター・消化器科)
共同演者 外山 隆(国立大阪医療センター・消化器科), 石田 永(国立大阪医療センター・消化器科), 三田 英治(国立大阪医療センター・消化器科)
抄録 【目的】3剤併用療法の定常状態におけるTVR血中濃度を測定し,副作用の程度,治療効果との関連,TVR血中濃度を規定する因子について検討する.
【方法】対象は3剤併用療法において,8週間以上TVRを投与した22例.体重の中央値は65.5kg,開始時HCV-RNA値の中央値は6.7 log IU/ml,開始時eGFR値は平均80.8ml/min/1.73m2,前回治療は初回治療:2剤再燃:2剤無効:単剤無効=5:7:9:1,IL28B rs8099917は TT:non TT=13:9で,TVRは2250mg/日の内服が6例,1500mg/日の内服が16例であった.TVRの定常状態のCminを測定するため,治療開始後8~11週目のうち1回,TVR内服の1時間前に血中濃度を測定した(以下TVR濃度とする).2群比較にはMann-Whitney U検定を,相関にはPearsonの検定を用いた.
【成績】TVR濃度は2.49±0.68 μg/mlと症例によって差が見られた.G1以上の皮膚障害が出た12例は,皮膚障害なしの10例と比較して有意に平均TVR濃度が高かった(2.87 vs. 2.03, p=0.0034).治療効果については,前回治療やIL28B non TT症例ではTVR濃度に差を認めなかったが,IL28B TT症例においてはSVR12を達成した症例が非達成例と比較してTVR濃度が高い傾向にあった.定常状態のTVR血中濃度を規定する因子について投与量別に検討したところ,2250mg内服群6例では有意な項目は得られなかったが,1500mg内服群16例では,女性は男性より平均TVR濃度が有意に高く(3.01 vs. 2.21, p=0.044),TVR濃度は開始時の体重と負の相関があり(r=-0.64, p=0.0074),開始時のeGFR値とも負の相関があった(r=-0.52, p=0.038).重回帰分析を用いて1500mg内服群のTVR濃度は以下の予測式で求められた.
TVR濃度(μg/ml)=6.54-0.042×体重-0.016×eGFR
調整済み決定係数は0.44で,体重が最も強くTVR濃度に関与する因子であった.
【結論】定常状態のTVR血中濃度は皮膚障害の有無と関連する.血中濃度を規定する因子として体重とeGFR値が挙げられ,体重と腎機能を考慮したTVRの投与量設計が必要と考えられる.
索引用語 テラプレビル, 血中濃度