セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

C型肝炎-治療6

タイトル 肝P-70:

Telaprevir(TVR)3剤療法でのTVR用量別治療効果と安全性

演者 渡辺 久剛(山形大・消化器内科)
共同演者 勝見 智大(山形大・消化器内科), 冨田 恭子(山形大・消化器内科), 佐藤 智佳子(山形大・消化器内科), 奥本 和夫(山形大・消化器内科), 西瀬 雄子(山形大・消化器内科), 斎藤 貴史(山形大・消化器内科), 上野 義之(山形大・消化器内科)
抄録 【目的】TVRによる3剤治療は治療効果の向上が期待されている反面,副作用にも注意が必要であり,TVR至適投与量についても十分に検討されていない.そこで,3剤治療の有効性および副作用について,宿主側因子およびTVR開始量の観点から検討した.【方法】対象は当院および関連施設においてTVRを含む3剤療法を開始後24週経過した,1型高ウイルス量例42例(未治療19例,再燃例12例,無効例11例)である.男性29例,女性13例,年齢は58.7歳であった.PPT解析により全体の治療効果を評価し,IL-28B SNPとの関連も検討した.さらにTVR 2250mg/日開始群32例,1500mg/日開始群8例のHCV RNA陰性化率,TVR中止率などを比較した.また副作用による中止の背景と,貧血とITPA SNPとの関連についても検討した.【成績】4/12/24週のHCV RNA陰性化率を治療歴別にみると,未治療例:86.7%/100%/100%,再燃例:92%/100%/100%,無効例:72.7%/81.8%/80%であり,RVR率は無効例が最も低率であった.またIL-28B TT群におけるRVR率はTG/GG群に比べ高い傾向にあった(90% vs. 80%).TVR投与開始量別のTVR中止率は,2250mg群で4 週/8週=12.5%/21.9%と,1500mg開始群の0%/12.5%に比し高率であった.一方,RVR率は両群とも86%と87.5%で差を認めなかった.TVR投与期間中の全体のTVR中止率は39%であり,主な中止の理由はHb減少(7.3%),皮膚症状(12.2%),消化器症状(7.3%),腎障害(7.3%)であった.治療開始後4週の平均Hb減少量とITPA SNPとの関連をみると,CA群:-2.0 g/dL,CC群:-3.2 g/dLであり,CC群で有意にHb減少がみられた(P<0.02).【結論】TVRによる3剤治療効果は前治療無効例では低率であった.TVRを1500mg/日で減量開始した場合,標準投与量に比べ早期治療効果に差はなく,TVR中止率も低率であったことから,減量開始により治療を完遂することで治療効果の更なる向上を期待できるものと考えられた.3剤治療においても宿主側因子は治療反応性と貧血の副作用に関連していた.
索引用語 Telaprevir, C型肝炎