抄録 |
【目的】PEG-IFNα2b(PEG-IFN)+Ribavirin(RBV)+Telaprevir(TVR)の3剤併用療法は1b高ウイルス量のC型慢性肝炎に対する治療効果を向上させている一方で,貧血,皮疹,腎機能障害等の重篤な副作用が出現する頻度もまた高いことが知られている.今回,TVRを2250mgから開始して4週後のHCV-RNA陰性化(RVR)が得られた後,副作用や合併症のため治療を早期に中止したにもかかわらず,ウイルス学的著効(SVR)が得られた3症例を経験したので報告する.【症例1】70歳,男性.Genotype 1b,高ウイルス量(5.7logIU/ml)に対して,PEG-IFN/RBV/TVRの3剤併用療法を開始したが,4週投与後に食欲不振,全身倦怠感の自覚症状が強く,腎機能低下も認められたため治療中止した.治療中止時,HCV-RNAは陰性(RVR)であった.その後,6ヶ月間HCV-RNAは陰性のまま推移したため,SVRと診断した.【症例2】57歳,男性.糖尿病でインスリン治療中であった. Genotype 1b,高ウイルス量(6.8logIU/ml)に対して,PEG-IFN/RBV/TVRの3剤併用療法を開始してRVRを得られたが,9週投与後にIFN網膜症の合併が認められたため治療中止した.治療中止後,6ヶ月間HCV-RNAは陰性のまま推移したため,SVRと診断した.【症例3】62歳,男性. Genotype 1b,高ウイルス量(6.2logIU/ml)に対して,PEG-IFN/RBV/TVRの3剤併用療法を開始してRVRを得られたが,貧血が徐々に進行して6週投与後にヘモグロビンが8.5g/dl未満に低下したため治療中止した.治療中止後,6ヶ月間HCV-RNAは陰性のまま推移したため,SVRと診断した.【結論】PEG-IFN/RBV/TVRの3剤併用療法はその副作用や合併症によって中止せざるを得ないことが少なくないが,RVRが得られた場合,症例によっては早期に3剤併用療法を中止してもSVRが得られる可能性があると思われた. |