抄録 |
【目的】C型慢性肝炎に対する Telaprevir(TVR)を含む3剤併用療法が本邦でも導入されたが,腎障害が注目されている.今回腎機能障害の影響が治療経過に及ぼす影響を検討したので報告する.【方法】対象は2012年1月から2013年1月まで3剤併用療法を導入した1型高ウイルス量のC型慢性肝疾患18人(M/F:10/8, 年齢28~73才,中央値63.5才)を対象とした.体重は38.8~85.6kgで平均64.1kgであった.対象者の同意のもと,宿主側因子としてIL28B, ITPA遺伝子多型とウイルス側因子としてHCV core aa70の変異を測定した.治療の効果はHCVRNA陰性化時期と再燃の有無,SVR4以上(SVR4-SVR24)として判定した.腎機能の指標として日本人のGFR推算式eGFR(ml/min/1.73mm)を使用した.またRibavirin(RBV)の血中濃度(ng/ml,HPLC)を適宜測定し,eGFR,RBV血中濃度,貧血(g/dl)の関係を検討した.治療開始時はPegIFNα2bは1.5μg/kg, TVR(2250mg/1500mg) 7/11例,RBV (800mg/600mg/400mg) 5/11/2例であったが,適宜用量の調節を行った.観察期間は治療導入後8~58週であった.【成績】 IL28B,ITPA遺伝子多型はそれぞれ,TT/TG 12/6例,c/CA 14/4例であった. 7週目でGrade 3の皮疹呈した1例のみでステロイドの全身投与を行い,TVRのみ中止したが,それ以外は治療を完遂したか8週以上治療継続中である. 現在まで4例が再燃,SVR4以上が11例, EOT 陰性1例,2例が治療継続中である.ITPA CC(n=14)ではeGFR/RBV/Hb(Wk)の平均値はそれぞれ,78.6/0/13.3(0),55.9/2372/11.2(3),62.3/3121/10.0(5W),74.1/1622/9.0(13), 81.9/2297/10.3(24) , ITPA CA(n=4)では91.5/0/13.6(0),69.9/662511.1(6), 51.9/4675/10.3(7), 75.0/4361/8.3(13) , 74.3/3332/11.3(24)と後者では早期のRBVと過量投与と13W目でのHbがよりする傾向が認められた.【結語】3剤併用療法はTVR の副作用でeGFR低下し,ITPA CC/CA間ででRBVやHbへの影響がことなり,慎重な容量調整の必要性が示唆された. |