セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

C型肝炎-治療10

タイトル 肝P-89:

3剤併用療法におけるテラプレビル投与量の検討―初期治療効果と貧血重症度からの解析―

演者 矢田 雅佳(麻生飯塚病院・肝臓内科)
共同演者 本村 健太(麻生飯塚病院・肝臓内科), 森田 祐輔(麻生飯塚病院・肝臓内科), 千住 猛士(麻生飯塚病院・肝臓内科), 小柳 年正(麻生飯塚病院・肝臓内科), 増本 陽秀(麻生飯塚病院・肝臓内科)
抄録 【目的】C型慢性肝炎の治療はTelaprevir/Peg-Interferon/Ribavirin (TVR/PEG/RBV) 3剤併用療法の導入によりその成績が格段に向上してきた.しかしTVR常用量とされている 2,250 mg/日が日本人にとって適切な投与量であるか否かについては議論がある.今回,3剤併用療法開始4wまでのウイルス学的効果および貧血の重症度とTVR投与量の関係を解析し,適切なTVR投与量を検討した.【方法】2012年5月より2013年2月までの間に当科で3剤併用療法を導入した42例中,開始後4wの検査値を得た39例を対象に,ウイルス学的効果および4w後のHb低下値 (-ΔHb/4w)と,薬剤投与量の関係を解析した.【結果】患者背景は男女比22:17,年齢60.8±9.2歳,IL28B SNP TT/non-TT 37/2,Core70 WT/Mut/ND 23/9/7であった.開始後2wと4wのHCV-RNA陰性化率はそれぞれ35.9% (14/39),84.6% (33/39)であった.単変量解析の結果,-ΔHb/4wは体表面積当りのTVR (TVR/m2)および体重当りのRBV (RBV/Kg)と相関し-ΔHb/4w = -1.870158 + 0.0036405 x TVR/m2 (R2 = 0.36, P<0.0001),-ΔHb/4w = 0.1419288 + 0.2426809 x RBV/Kg (R2 = 0.23, P = 0.0019)であった.さらに多変量解析の結果TVR/m2が独立因子として抽出された.この回帰式で-ΔHb/4w = 2.0となるTVR/m2の予測値が1,063と算出されることから,次にTVR/m2≧1,060群とTVR<1,060群のウイルス学的効果と-ΔHb/4wを解析した.両群間でウイルス陰性化率に差はなく,-ΔHb/4wの中央値がそれぞれ3.0と1.8となった(P = 0.0097).ロジスティック解析では-ΔHb/4w≧3.0もしくは-ΔHb/4w≧2.0となるOdds比が6.25 (P = 0.0189)と6.00 (P = 0.0146)であった.【考察】TVR/m2≧1,060群では貧血がより重症で治療効果に差がないことから,安全域の最大量であるTVR/m2 = 1,060がTVR投与量設定の目安となる.日本人の平均的体型を適用すると,男性1,700~2,000 mg/日,女性1,500~1,800 mg/日がこの量に相当する.
索引用語 C型肝炎, テラプレビル