セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

C型肝炎-治療10

タイトル 肝P-90:

難治性高齢者C型慢性肝炎にいかに3剤併用療法を行うか?-SOCの治療成績との比較から-

演者 石川 達(済生会新潟第二病院・消化器内科)
共同演者 窪田 智之(済生会新潟第二病院・消化器内科), 木村 成宏(済生会新潟第二病院・消化器内科), 堀米 亮子(済生会新潟第二病院・消化器内科), 本田 博樹(済生会新潟第二病院・消化器内科), 岩永 明人(済生会新潟第二病院・消化器内科), 関 慶一(済生会新潟第二病院・消化器内科), 本間 照(済生会新潟第二病院・消化器内科), 吉田 俊明(済生会新潟第二病院・消化器内科)
抄録 【目的】わが国のC型肝炎患者は高齢化しており,同時に高齢者発癌が増加している.標準的治療であるペグインターフェロン(PEG-IFN)とリバビリン併用療法においても減量,中止例が多く,Telaprevirによるプロテアーゼ阻害剤3剤併用療法でこの傾向はさらに顕著になると考えられる.しかし,一方で高齢者,特に高齢女性においては1型高ウイルス量に対するPEG-IFNとリバビリン併用量療法(SOC)の治療成績は充分とは言えない.そこで,1型高ウイルス量高齢者に対するSOCの成績と3剤併用療法の妥当性と治療成績について検討した.【方法】対象はSOCを施行した65歳以上の1b型C型慢性肝炎患者63例(男性/女性:35:28) と3剤併用療法を導入した15例(男性/女性:9/6)である.3剤併用療法においてはSF-36による65歳未満症例とのQOL比較もおこなった.【成績】SOCにおいての全体のSVR率は22.2%で65歳以上,70歳以上,75歳以上に層別化すると男性においては25.7%,31.3%,50%で,女性においては17.9%,23.1%,0%であった.75歳上の女性においてSVRは認められないもののAFP値の改善は認められた.一方,3剤併用療法においては65歳以上全体のSVR率は81.8%で,男性100%,女性66.7%であった.75歳以上は男性100%,女性33.4%であった.3剤併用療法3カ月では65歳未満に比して精神的の日常役割機能のQOL評価は65歳以上で低下したものの6カ月後には改善し,65歳未満と有意差は認められなかった.【結論】高齢者C型慢性肝炎における3剤併用療法の治療効果はSOCをはるかに凌駕する.Performance statusや発癌リスクを考慮したうえで,発癌予防を目指したAFP値を低下させる目的のIFNをおこなう治療戦略でいくか,SVRを得るために副作用を充分憂慮したうえで,プロテアーゼ阻害剤導入3カ月間を減量治療含めたQOL維持を考慮した3剤併用療法を行なうことが重要と考えられた.
索引用語 プロテアーゼ阻害剤, 難治性高齢者C型慢性肝炎