セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

C型肝炎-治療11

タイトル 肝P-92:

C型肝細胞癌根治治療後のIFN療法による再発抑制効果と予後に関する検討

演者 橋口 正史(霧島市立医師会医療センター)
共同演者 山崎 成博(霧島市立医師会医療センター), 長谷川 将(霧島市立医師会医療センター), 藤崎 邦夫(霧島市立医師会医療センター)
抄録 【目的】C型肝細胞癌では,根治治療が行われても肝炎ウイルスが存在する限り高率に再発がみられ,肝癌再発抑制が長期予後の改善に重要である.肝細胞癌根治後IFN療法による再発抑制と予後改善効果について検討した.【対象と方法】2000年から2011年までに当院で根治治療が行われたC型肝細胞癌 86例を対象に,治療後IFNが投与された29例(IFN群,SVR15例,nonSVR13例,判定待ち1例)と投与されなかった57例(非IFN群)に分けて検討した.生存期間と無再発期間をKaplan-Meier法で,予後および再発抑制因子についてCox比例ハザードモデルを用いて解析した.また再発時の腫瘍因子および肝予備能の変化を比較した.【結果】生存率は,IFN群(5年/10年 94%/82%)が非IFN群(5年/7年 66%/38%)に比して有意(p=0.002)に高かった.SVR例とnonSVR例で生存率に有意差はみられなかった.初回再発率は,IFN群と非IFN群に有意差は認めなかったが,再々発率は,IFN群 (3年/5年 13%/19%)が非IFN群 (3年/5年 34%/60%)に比して有意(p=0.032)に低率であった.SVR例は,初回再発率がnonSVR(p=0.022)および非IFN群(p=0.020)に比して有意に低率で,再々発率も非IFN群(p=0.027)に比して低率であった.予後に寄与する因子は,Child-Pugh分類 A,女性,無再発期間2年以上,IFNの投与が抽出された.また再発抑制因子は,IFN治療SVRが抽出された.再発および再々発時において,有意差はみられないが非IFN群で腫瘍の進行がみられ,再発時はIFN群では根治的治療が多く選択されていた.肝予備能の変化として,無再発例においては,IFN群でアルブミンと血小板の有意な上昇,非IFN群でPTの有意な低下,再発例においては,IFN群では変化はなく,非IFN群でT.Bil,アルブミン,PTの有意な低下を認めた.【結語】C型肝細胞癌の根治的治療後のIFN導入は,肝機能を安定化もしくは改善させ,また肝癌再発も抑制することにより,長期予後の改善が得られると考えられた.
索引用語 C型肝炎, インターフェロン