共同演者 |
小林 正宏(虎の門病院・肝臓センター), 福島 泰斗(虎の門病院・肝臓センター), 川村 祐介(虎の門病院・肝臓センター), 瀬崎 ひとみ(虎の門病院・肝臓センター), 保坂 哲也(虎の門病院・肝臓センター), 芥田 憲夫(虎の門病院・肝臓センター), 斎藤 聡(虎の門病院・肝臓センター), 鈴木 義之(虎の門病院・肝臓センター), 鈴木 文孝(虎の門病院・肝臓センター), 荒瀬 康司(虎の門病院・肝臓センター), 池田 健次(虎の門病院・肝臓センター), 熊田 博光(虎の門病院・肝臓センター) |
抄録 |
【目的】肝細胞癌に対する画像診断の進歩により早期肝癌の診断が可能となった. しかしながらHCV関連肝癌は根治療法後に高率に再発をきたし, 長期予後の改善には背景肝に対する再発抑制治療が重要である.今回我々はstage I肝癌根治療法後のインターフェロン(IFN)療法の再発抑制効果につき検討した.【方法】1988年から2011年まで当院で, Child-Pugh A, Stage I肝癌に対して根治的治療を施行し得たHCV関連肝癌357例を対象とした.【成績】年齢:中央値67歳, 男性219例:女性138例, 根治療法の内訳は肝切除125例, RFA232例. ウイルス学的にgenotype1が85%を占めた. IFN施行例:IFN未施行例=68(RBV併用25.0%):289例であった. IFN施行例/非施行例の患者背景は年齢(中央値):64/68歳とIFN施行群は非施行群と比べ年齢が有意(p<0.001)に若かったが, 肝予備能, HCV genotypeの分布に差は認めなかった. 根治後の累積粗再発率(IFN施行/IFN未施行):3年(40%/58%), 5年(64%/74%)でありIFN施行群は有意(p=0.017)に再発を抑制していた. 再発に有意に関与した因子として多変量解析にて男性(HR 1.39, 95%CI 1.08-1.78, p=0.011), alb4.0g/dl(HR 0.61, 95%CI 0.42-0.90, p=0.012), RFA(HR 1.41, 95%CI 1.08-1. 85, p=0.013), AFP>10(HR 1.34, 95%CI 1.03-1.75, p=0.031), IFN療法有り(HR 0.70, 95%CI 0.51-0.97, p=0.032)が抽出された. RFA施行例は高齢, 線維化進行例が多く, 再発形式は他部位再発が多かった. IFN施行群でSVR達成例の累積粗再発率は3年0%, 5年25%と明らかに低率であった. Non SVR症例の再発はIFN未施行群と有意差なかったが(p=0.106), Non SVRであっても1年以上の長期投与例は再発を抑制する傾向(p=0.062)があり, RBV併用例においては再発を有意(p=0.047)に抑制していた.【結論】HCV関連肝癌根治後の再発抑制には, 肝機能が良好であればSVRを目指した抗ウイルス療法が重要と考えられた. |