セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

C型肝炎-治療11

タイトル 肝P-95:

肝細胞癌根治術後の再発に与えるインターフェロン治療の効果

演者 出口 章広(公立八女総合病院・肝臓内科DELIMITER香川大・消化器・神経内科)
共同演者 永松 洋明(公立八女総合病院・肝臓内科), 城野 智毅(公立八女総合病院・肝臓内科), 平城 守(公立八女総合病院・外科), 正木 勉(香川大・消化器・神経内科), 佐田 通夫(久留米大・消化器内科)
抄録 C型肝炎を背景とする慢性肝疾患においてはインターフェロン(IFN)治療により発癌抑制効果が期待できることが報告されている.しかし肝細胞癌根治術後の再発抑制に関する報告は比較的少ない.今回我々は当院で根治術が施行されたC型肝炎関連肝細胞癌患者におけるIFN治療の効果について検討を行ったので報告する.対象は2003年8月以降に当院で肝切除を受けたHCV陽性肝細胞癌患者55例(切除時平均年齢は69.4歳,男女比は43:12,Child A:B=54:1,clinical stageはI : II : III : IV = 6 : 26 : 16 : 7)である.これらの症例のうち25例(1型高ウイルス量 : それ以外=14:11)でIFN治療(IFN α単独 : PegIFNα2a単独 : 2剤併用療法 : 3剤併用療法 = 7 : 2 : 14 : 1)が施行された.全体のSVR率は68%,1型高ウイルス量に限っては57%であった.これらの症例をウイルス消失群(SVR群)とウイルス非消失群(non SVR群+IFN未治療群)に分け,再発率および予後に関する検討を行った.まず術後の再発に関してはウイルス消失群では初回再発をきたした症例の割合は41%,ウイルス非消失群では42%と同等であった.また,累積再発率に関しても両群で有意差はなかった.しかし,初回再発症例における2回目の再発をきたした症例の割合はウイルス消失群では43%であるのに対してウイルス非消失群では100%と有意差を認めた.さらにウイルス非消失群では2回目再発に対する治療後CRとなった症例全例で3回目の再発を認めた.予後に関してはウイルス消失群では3年生存100%,5年生存72%であるのに対して,ウイルス非消失群では3年89%,5年生存59%と有意差はないもののウイルス消失群において予後がよい傾向がみられた.以上のことから肝細胞癌根治術後の再発に与えるインターフェロン治療の効果として,初回再発を抑制するのは困難であるが2回目および3回目の再発を抑制することにより予後を延長する可能性が示唆された.
索引用語 肝細胞癌, インターフェロン