セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

C型肝炎-治療12

タイトル 肝P-99:

血小板減少を伴うC型慢性肝炎に対するPSE・脾臓摘出術後のPEG-IFNα-2b+リバビリン併用療法

演者 筒井 朱美(徳島市民病院・内科)
共同演者 土谷 薫(武蔵野赤十字病院・消化器科), 泉 並木(武蔵野赤十字病院・消化器科)
抄録 【背景】肝臓の線維化が進み,血小板数や白血球数が減少した患者においては通常投与量でのPEG-IFN+リバビリン(RBV)併用療法の導入が困難な場合が多い.このようなC型慢性肝炎における脾機能亢進症に対して,部分的脾動脈塞栓術(PSE:partial splenic embolization)や脾臓摘出術(脾摘)の有用性が報告されている.今回我々は多施設共同研究において,血小板減少を伴うC型慢性肝炎に対するPSEまたは脾摘後のPEG-IFNα-2b+RBV併用療法について,プロスペクティブなpilot studyとして検討した.
【対象・方法】血小板減少を伴うC型慢性肝炎に対してPSEもしくは脾摘後 PEG-IFNα-2b+リバビリン併用療法を実施し,PEG-IFNα-2b+RBV併用療法の薬剤Adherence,抗ウィルス効果およびPSE・脾摘の血小板数増加効果について検討した.2012年4月までの登録は17症例(脾摘/PSE 6/11,男/女 9/8,ウィルス型1B/それ以外 14/3)である.
【結果】1)PSE・脾摘により血小板数は平均6.3万から17.3万と有意に増加した(p=0.0023).2)17例中治療が終了した14例(PSE/脾摘 10/4)の薬剤Adherenceは,全体ではPEG IFN 70.1%,RBV 68.8%,PSE群:PEG IFN/ RBV 60.2%/67.6%,脾摘群:IFN/ RBV 94.8%/77.1%であり,PEG IFNのAdherenceは脾摘が良好であった.3)抗ウィルス効果は,効果判定が終了した11例中3例(27.3%)でSVRが得られた.SVRが得られた症例は,ウィルス型1B/それ以外 2/1,男/女 2/1,脾摘/PSE 2/1,年齢は全例50歳以下,薬剤Adherence(PEG IFN/ RBV78.3%/85.3%)が保たれている症例であった.
【結語】脾摘・PSEは,汎血球減少を改善することによって抗ウィルス療法のコンプライアンスを改善し有用な治療法と考える.しかし,脾摘・PSEともに死亡例の報告があり,慎重な症例の選択・十分なインフォームドコンセントが必要であると考えられた.
索引用語 血小板減少を伴うC型慢性肝炎, PEG-IFNα-2b+リバビリン併用療法